【マイルCS名勝負】オグリキャップ、感動の鼻差V 武豊バンブーメモリーとの死闘

スポーツ報知
第6回マイルCSに勝利したオグリキャップと南井克巳騎手

 ◆第6回マイルCS・G1(1989年11月19日、京都競馬場・芝1600メートル、良)

 優勝 オグリキャップ(南井克巳騎手、栗東・瀬戸口勉厩舎)

 2着 バンブーメモリー(武豊騎手、栗東・武邦彦厩舎)

 3着 ホクトヘリオス(柴田善臣騎手、美浦・中野隆良厩舎)

 最初の立ち位置は、タマモクロスの敵役だったのかもしれない。1988年、巻き起こった芦毛ブーム。連勝街道を歩む先輩を追いかけるように、岐阜・笠松から中央入りしたオグリキャップも、無敗ロードを突っ走った。

 秋の天皇賞で初対決。結果は春の天皇賞馬に貫禄を見せられると、ジャパンCでも先着を許した。ただ、最後の顔合わせとなった有馬記念では、一度きりの岡部幸雄とのコンビで鮮やかに雪辱。クロスに引退の花道を飾らせなかった。強いが、地方出身、決してエリートでない。異彩を放っていた。

 1989年の秋、オグリキャップは天皇賞で不完全燃焼な競馬で2着に終わると、陣営から驚くべきローテーションが発表される。マイルCSからジャパンCへ連闘―。オールカマー→毎日王冠→天皇賞と、すでに3戦を消化しており、大一番のJCを前にしてのG1出走は常識外れと言われても仕方なかった。

 レース前から、マイルCSはバンブーメモリーとの一騎打ちが予想された。スワンSを完勝した安田記念の勝ち馬は、春秋マイル王を視界にとらえていた。そこへ怪物が突然の参戦。天皇賞・秋では、スーパークリークとのコンビで打倒オグリを果たした武豊が、燃えないはずがない。

 絶好位でレースを進め、4コーナーでスパートしたバンブー。対照的にオグリは反応が鈍い。「届かない位置だった」南井克巳は諦めなかった。ゴール前はラチ沿いを猛烈に追い上げる芦毛と、好位置から抜け出した武豊のスマートなアクションが重なった。内か、外か―。鼻差でオグリの勝利が示されると、南井に熱いものがこみ上げてきた。お立ち台では感極まって、言葉を詰まらせた。「まだオグリに半分しか借りを返せていません。来週のジャパンCで倍にして返しますので、ご声援よろしくお願いします」

 武豊が報道関係者の前に現れたのは、レースから30分後だった。常に冷静な取材対応だったユタカが、質問を遮るように言った。「細かいことは抜きにして思い通りでした。それで少し負けたということです」悔しい負けだった。それでも、このレースによって日本競馬史が動き出したのは確かだった。

 1週後のJC、オグリは世界レコードの2着。ホーリックスと首差の激闘だった。一部で批判された厳しいローテーションを跳ね返し、懸命に走るオグリの姿に声援が高まるきっかけになった。一年後、オグリキャップと武豊が感動のフィナーレを演じるとは、だれも想像できなかっただろう。(吉田 哲也)=敬称略=

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