“アベ首相”がゴッホ展を緊急視察 「ゴッホは本当に自分が好きなものだけを描き続けた」ラグビー日本代表との共通点

ゴッホの「糸杉」の前に立つ“アベ首相”にふんした福本ヒデ
ゴッホの「糸杉」の前に立つ“アベ首相”にふんした福本ヒデ

 芸術の秋真っ盛り。東京・上野の森美術館では「ゴッホ展」が開催中だ。強烈な色彩で世界中の人々を魅了し続けるオランダの画家、ビンセント・ファン・ゴッホ(1853~90)。今回の展示は静ひつな「ハーグ派」と躍動の「印象派」の出会いによって唯一無二の画風が誕生したことがテーマだ。社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の福本ヒデ(48)が扮(ふん)する「アベ首相」がこのほどゴッホ展を“緊急視察”。見えてきたのはゴッホとラグビーW杯日本代表との意外な共通点だった。(甲斐 毅彦)

 本展は約40点のゴッホ作品に加え、ハーグ派と印象派を代表する巨匠たちの作品約30点が並ぶ。その中でも見るべきは、やはり、晩年のゴッホの代表作「糸杉」だ。この作品の前に立つとアベ首相はピタリと足を止めた。

 「いやー、この一枚を見られただけでも来た甲斐(かい)がありましたねえ」。縦長のキャンバスに描かれた深緑色の糸杉は、うねりながら天へと伸びているようで、見るものに圧倒的な生命力を感じさせる。そして、顔を可能な限り近づけたアベ首相は、その厚塗りに注目した。「見てください、この厚み。何度も何度も塗り重ねたことが分かるでしょう。これだけでもゴッホが思いを込めたことが伝わってきます。これは印刷物で見ても分からない。本物と向かい合ってこそ、感じられることなんです」

 今回の展示は「糸杉」が誕生するまでのゴッホの歩みを丹念にたどることができるのが特徴だ。聖職者の道をあきらめ、27歳で画家を志したゴッホにとって最初の土台となったのが、農民たちの素朴な生活や豊かな自然を穏やかなタッチで描いた「ハーグ派」だ。

 その後、パリに出てから出会ったのが「印象派」。それまではどちらかというと暗かった色彩が、躍動感あふれる華やかななものになる。ガラリと変わる画風のせいで、展示室の雰囲気まで変わったように感じる。

 「ゴッホは、オランダに生まれ、ハーグ派の絵と出会い、パリで印象派に出会い、新しい絵を生みました。さらには、日本の浮世絵にも影響を受け、南フランスのアルルの風景に魅せられ、ゴーギャンの影響も。出会うものすべて吸収して新しいものを作っていった。引きこもりみたいなイメージがありますが、いろんな土地で、人や風景をたくさん見ています。今の言葉で言えば、多様性、ダイバーシティーと言えるかもしれません」

 「多様性」と口にしたアベ首相が、すぐに連想したのはラグビーW杯で史上初の8強入りを成し遂げた日本代表だ。国籍にはとらわれず、ニュージーランドや韓国などから日本に来て、自分が住んでいる国を愛し、その代表として死力を尽くしてプレーした選手たちの姿は、日本国内を感動の渦に巻き込んだ。

 「ゴッホは本当に自分が好きなものだけを描き続けた人でした。ラグビーはあまり詳しくないのですが、日本代表の選手の皆さんも、同じように本当にラグビーが好きだからこそ、情熱のあるプレーを見せてくれたのだと思います」

 展示を見終えて、アベ首相が感じたことはもう一つ。ゴッホが描いた人物像には貴族のような偉い人の絵が全くないという点だ。頭を抱えた男を描いた「疲れ果てて」「農婦の頭部」「ジャガイモを食べる人々」「タンギー爺さんの肖像」…。

 アベ首相は「ゴッホが目を向けたのは、すべて名もない一般庶民でした」と話した。

 ◆自身も画伯

 美術検定2級の資格を持つ福本ヒデは、個展などで発表した作品に、描き下ろし新作を加えた「永田町絵画展」(ワニブックス)を出版。西洋の名画や浮世絵などの日本画だけでなく、誰もが知るアニメの登場人物までもが、永田町界わいで見かける面々となった風刺画集の中には「糸杉」を題材にトランプ米大統領を皮肉った「やりすぎ」もある。

 ◆ゴッホ展 上野の森美術館で2020年1月13日まで開催。開館時間は9時30分から17時まで(金、土曜は20時まで、入場は閉館の30分前まで)。休館日は12月31日と1月1日。一般1800円、大学・専門学校・高校生1600円、中学・小学生1000円。小学生未満は無料。

 ◆福本 ヒデ(ふくもと・ヒデ)1971年7月14日、広島県神石郡神石高原町生まれ。48歳。97年から「ザ・ニュースペーパー」所属。舞台、ライブなどで「アベ首相」「ノダ前首相」「ハトヤマ元首相」「アソウ元首相」「イシバ氏」など実在の政治家を模したキャラを演じている。

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