「日本は親切という言葉は正しいか」ラグビーフィーバーの陰で耳に残った留学生の声

調布駅前のパブリックビューイング会場で観戦する人たち
調布駅前のパブリックビューイング会場で観戦する人たち

 ラグビーW杯の日本―南アフリカ戦が行われた10月20日、東京・調布駅前のパブリックビューイング(PV)会場に足を運んだ。結果は日本代表の敗戦となったが、会場では日本人ファンと訪日外国人が肩を寄せ合い、「よくやった」「ありがとう」と代表チームへの歓声や拍手に包まれていた。

 外国人にも話を聞きたいと思ったが、情けないことに全く英語が話せないので諦めようしたとき、フィリピンからの交換留学生だという男子大学生が話しかけてくれた。彼の友達の日本人学生を介していろいろな話をするなかで、日本の印象について訪ねると「平和だし、いい国。でも親切という言葉が本当に正しいかは分からない。自分の知り合いは日本で働いているけど、いい環境とはいえない。今の自分の目には親切でいい国に見えてるけど」と話してくれた。

 今大会は9月20日から閉幕まで44日間、全国の12会場で熱戦が繰り広げられ、世界各国から多くの人が日本を訪れた。閉幕後、国際統括団体ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は「日本の温かさ、ラグビーに対する情熱、苦しいときの友情を象徴していた。開催都市も海外のビジターを歓迎した」と日本の“おもてなし”に賛辞を送った。

 確かに今大会をきっかけに、改めてラグビーという競技が持つ魅力だけでなく、日本代表の「ONE TEAM」の精神や、日本の文化が評価された面もある。しかし、留学生の「日本は親切という言葉が正しいかどうか分からない」という言葉を思い出すと、手放しに「日本は、訪れた人たちに温かく、世界各国に賞賛されている」とは喜べない。

 日本国内の外国人労働者数は約146万人(2018年10月末)で、10年前の約3倍に増加した。一方で、技能実習制度で働く外国人実習生の失踪が、信じがたいことに過去5年で2万人を超え、違法な長時間労働や低賃金といった劣悪な労働環境が問題になっている。

 入社して記者の仕事をするようになって約半年がたったが、報道に関わる人間としては、耳当たりのいい「日本はすばらしい」「日本はクールだ」といった意見に手をたたくのではなく、この国にあるネガティブな現実や複雑な問題にも目を向けなければならないと感じた。(記者コラム・奥津 友希乃)

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