ブロック・レスナーがUFCの敵をWWEで討った…金曜8時のプロレスコラム

WWE「クラウン・ジュエル」でヴェラスケスを投げるレスナー(C)2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWE「クラウン・ジュエル」でヴェラスケスを投げるレスナー(C)2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.

 世界最大のプロレス団体WWEの“ザ・ビースト”ブロック・レスナー(42)が10月31日(日本時間11月1日)にサウジアラビア・リヤドのキング・ファハド国際スタジアムで行われた特番(PPV)「クラウン・ジュエル」で、元UFCヘビー級王者のケイン・ヴェラスケス(37)を相手にWWE王座を防衛し、9年越しのリベンジを果たした。

 レスナーとヴェラスケスは、総合格闘技「UFC」で対戦した因縁があった。2010年の「UFC121」(10月23日・米アナハイム)で、UFCヘビー級王者だったレスナーに挑んだヴェラスケスが、1回4分12秒、流血したレスナーにパウンドを落とし続け、TKOで王座を奪取している。

 WWE王者から史上初めてUFC王者になったレスナーだったが、ヴェラスケスによって、UFC撤退を余儀なくされ、WWEに戻って再びWWE王者となった。そこへヘビー級王座を失ってUFCを去ったヴェラスケスが乗り込んできたという因縁だ。

 オクタゴンからリングに舞台を変えて、9年ぶりにリベンジ。「江戸の敵(かたき)を長崎で討つ」という言葉がある。意外なところで仇(あだ)討ちができたという意味だったと思うが、まさにUFCの敵をWWEで討つ、である。

 WWEネットワークによると、試合展開はこうだった。ヴェラスケスが蹴りを中心に打撃で攻め込めば、レスナーはタックルで懐に入り込んでコーナーに追い込む。ヴェラスケスが強烈な膝蹴りからハイキックを決めてレスナーをダウンさせるとチャンスとばかりにパウンドで攻め込んだ。

 UFCならここで終わっていたが、そうはならないのがWWE。UFCでは、パウンドを浴びながら、どうしてもつかめなかったヴェラスケスの腕をレスナーが捕らえた。得意の寝技に引き込むと、そのままキムラロックをきめて、ヴェラスケスからタップを奪った。

 あらためてレスナーはすごいと思う。WWEの王者であり、UFCのヘビー級王者にもなり、おまけに日本の最高峰、IWGPヘビー級王者にもなったことがあるのだから。

 2002年にWWEで頭角を現し、いきなりWWEの象徴、ハルク・ホーガンに勝利。さらに当時の王者・ロックも倒してWWE王者となった。その後にNFLに挑戦するためにWWEを退団し、その空白期間に2005年に新日本プロレスに参戦し、IWGPヘビー級王座を奪取(蝶野正洋、藤田和之との3WAY戦)。中邑真輔や元横綱・曙らを相手に防衛し、負けることなく、持ち逃げした(後にタイトル剥奪)。

 2008年にUFCデビュー。当時のヘビー級王者、ランディ・クートゥアに挑戦し、パウンドによるTKOで王座奪取。日本を裏切ったとはいえ、新日本プロレスの元王者によるUFC戴冠に「KING OF SPORTS」を感じたものだった。そして、ヴェラスケスに敗れた因縁をプロレスに持ち帰って、PPVを盛り上げた。

 WWEでのレスナーは、ヴェラスケスからタップを奪っただけでは終わらなかった。王座を防衛し、9年越しのリベンジを果たしたレスナーは、試合後もヴェラスケスへの攻撃を続けた。そこへ、レイ・ミステリオがパイプ椅子でレスナーを襲撃。レスナーはミステリオを蹴散らして、ヴェラスケスにパイプ椅子連打からのF5でとどめを刺した。

 11月4日(日本時間5日)に、ニューヨーク州ユニオンデールのナッソー・コロシアムでのWWE「ロウ」にレスナーが登場。代理人ポール・ヘイマンは「レイ・ミステリオに報復するためにロウに来たぞ! ミステリオはどこにいる? 奴のキャリアは終わることになる」と宣言。ミステリオは、鉄パイプでレスナーを襲撃し、さらにWWE王座ベルトを奪って一撃。24日のPPV「サバイバー・シリーズ」(イリノイ州ローズモント、日本時間25日にWWEネットワークでライブ配信)でのWWE王座戦が決まった。

 総合格闘技の因縁をプロレスに持ち込んだ例としては、レスナーと同じ異名を持つ”ザ・ビースト”ボブ・サップと元横綱・曙は、K‐1(Dynamite!)とRIZINで対戦(サップが連勝)し、そのエクストララウンドが、プロレスリングZERO1で組まれた(直前に曙が心臓疾患で倒れ実現せず)。ともにIWGPヘビー級王座に就いているとは言え、レスナーの世界的スケールとは比べものにはならない。

 レスナーは、2015年のWWE日本公演に8年ぶりに来日してから、その後は4年も日本に来ていない。この間に、かつて新日本プロレスでIWGPヘビー級王座をかけて戦った中邑真輔(39)がWWEに参戦している。

 ここで期待したいのは「IWGPの敵をWWEで-」。その機運は、元IWGPヘビー級王者だったAJスタイルズがWWE王者時代にもあった。米国で中邑は、何度かAJに挑戦したが退けられ、昨年の日本公演では、2連戦が組まれながら、中邑の”警察犬噛まれ騒動”で実現しないまま、抗争は終わった。10月に行われたWWEのドラフト会議では、レスナーと中邑はともに「スマックダウン」から指名され、実現が可能になった。「2020年東京」という世界が注目するワードに、WWEが乗っからないはずはないと思うが、どうだろうか。(酒井 隆之)

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