井上尚弥、判定でWBSS初優勝…強かったドネアが称えた「真の王者」

11回、ドネアを捉える井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)
11回、ドネアを捉える井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)

◆プロボクシング世界戦 ▽ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級(53・5キロ以下)決勝12回戦〇WBA、IBF王者・井上尚弥(12回 判定3―0)WBAスーパー王者ノニト・ドネア●(7日、さいたまスーパーアリーナ)

 プロボクシングWBA&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(26)=大橋=が、WBA世界同級スーパー王者ノニト・ドネア(36)=フィリピン=を3―0の判定で下して優勝した。デビューから19連勝で、WBA王座は3度目の防衛で同王座を統一し、IBF王座は初防衛。2回に右まぶたを切り、プロ初の流血も、11回に左ボディーでダウンを奪い勝利を手にした。直前に弟・拓真(23)=大橋=がノルディーヌ・ウバーリ(33)=フランス=に判定負け。兄は「敵を取りたい」とWBC王者との統一戦を熱望した。(観衆2万2000)

 初めて聞いた2万2000人の「ナオヤコール」がモンスターをよみがえらせた。11回。井上尚の右アッパーからの返しの左ボディーがドネアの腹をえぐった。5階級制覇王者は、リング上を少し周回して膝をついた。ダウンだ。会場が大きく揺れた。

  • 11回、ダウンするドネア(手前)を見つめる井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)

    11回、ダウンするドネア(手前)を見つめる井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)

 立ち上がったドネアに、井上尚は攻撃の手を止めない。2回にドネアの左フックで右目上を切った。プロ初の流血。8回には鼻血を出した。相手の強烈な左と出血箇所を警戒して右のガードを下げられず、自分の距離も取れない。9回には右のカウンターを食らい、たまらずクリンチに逃げた。それでも勝利への執念だけで前に出て3―0の判定勝ち。最大8ポイント差をつけ、黄金のムハマド・アリ・トロフィーを抱え上げた。

  • 試合後、トロフィーを手に雄叫びを上げる井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)

    試合後、トロフィーを手に雄叫びを上げる井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)

 「ドネア選手、メチャクチャ強かったです。初めてのカット。2回からドネアが2人に見えた。最後までぼやけていた。応援に来ていただき、ありがとうございました」。大声援の後押しを感謝した井上尚。ぱっくり割れて、5針縫った右まぶたが痛々しい。あと数ミリ深かったら試合は止められていたという。

  • 12回を戦い終え抱き合う井上尚弥とドネア (カメラ・竜田 卓)

    12回を戦い終え抱き合う井上尚弥とドネア (カメラ・竜田 卓)

 「6回までにポイントを取っていたと思ったので7、8回を捨て、残りの4回を取ろう」と作戦を切り替えたという。「期待されるような試合にならずにすいません」と謝ったが、一方で「メチャクチャ楽しかった」。中学から参考にしたドネア相手に力を出し尽くした達成感があった。

 WBSS初戦でパヤノをたった2発で仕留めたが、この日はパンチ620発を要した死闘。ドネアは「井上尚は真のチャンピオンであることを証明した」、ザワーランドWBSS代表は「ボクシングで新しいドラマが生まれた一夜。ヒーローたる真の強さを見せてくれた」とたたえた。関係者によると井上尚は決勝だけで賞金、ファイトマネーを合わせ約1億円も獲得した。

  • 会見後握手を交わすトップランク社のトッド会長(左から2人目)、井上尚弥(同右)(左は父・真吾トレーナー、右端は大橋ジム・大橋秀行会長)(カメラ・竜田 卓)

    会見後握手を交わすトップランク社のトッド会長(左から2人目)、井上尚弥(同右)(左は父・真吾トレーナー、右端は大橋ジム・大橋秀行会長)(カメラ・竜田 卓)

 試合後、リング上で叫んだ。「弟が負けてしまった。敵を取りたい。統一戦をやりたい」。拓真の試合中、たまらず控室のテレビを消し、自身の試合に集中するよう努めた。その弟はリングサイドで兄の試合を見守った。試合後に大橋秀行会長が「ダウンは10カウントあったように思えたが…」と振ると、苦笑いしながら何度もうなずいたモンスター。だが「これがボクシング。甘い世界じゃないと分かりました。明日からまた、精進します」。東京五輪が開催される2020年、本格的な米国進出が始まる井上尚は、さらなる飛躍の年にする。(谷口 隆俊)

 ◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年4月10日、神奈川・座間市生まれ。26歳。相模原青陵高でアマ7冠など通算75勝(48KO・RSC)6敗。2012年10月にプロデビュー。14年4月に6戦目でWBC世界ライトフライ級王座、同12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得。18年5月にWBA世界バンタム級王座を獲得し3階級制覇。今年5月にはIBF王座も獲得した。プロ通算19戦全勝(16KO)。身長164.5センチの右ボクサーファイター。家族は妻と1男。

  • WBSS優勝を果たした井上尚弥は、愛息の明波くんのパンチの祝福に笑顔(カメラ・竜田 卓)

    WBSS優勝を果たした井上尚弥は、愛息の明波くんのパンチの祝福に笑顔(カメラ・竜田 卓)

 【戦評】ハードパンチャー同士の激しい打ち合いは井上尚が終盤の11回にダウンを奪って制した。5回に右の強打でコーナーに詰める場面もあったが、ドネアも打たれ強かった。11回は井上尚が右アッパーから強烈な左ボディーを打ち込んで相手がしゃがみ込んだ。ドネアのカウンターを受けた井上尚は右目上からの流血もあり、苦しみながら判定勝ちを収めた。

11回、ドネアを捉える井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)
11回、ダウンするドネア(手前)を見つめる井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)
試合後、トロフィーを手に雄叫びを上げる井上尚弥(カメラ・宮崎 亮太)
12回を戦い終え抱き合う井上尚弥とドネア (カメラ・竜田 卓)
会見後握手を交わすトップランク社のトッド会長(左から2人目)、井上尚弥(同右)(左は父・真吾トレーナー、右端は大橋ジム・大橋秀行会長)(カメラ・竜田 卓)
WBSS優勝を果たした井上尚弥は、愛息の明波くんのパンチの祝福に笑顔(カメラ・竜田 卓)
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