【二宮寿朗の週刊文蹴】“ツープラトン”から見える「重み」と「誇り」

 簡単なようで簡単ではない。国際Aマッチに新戦力を大量に呼ぶことだ。W杯アジア予選期間中の親善試合でもそう。「監督がベストメンバーをそろえるのはスポンサーへの忖度(そんたく)」などと邪推する声も聞くが、そうではない。理由は単純明快。ヘタな試合をしてしまえばクビを切られかねないリスクが常にあるからだ。森保一監督自体、2次予選に入ってベストメンバーをそろえてきた。ただ“保身”ではなく“代表へのリスペクト”ゆえだと感じているが。

 そんな指揮官が思い切った妙手を打ってきた。14日の2次予選アウェー、キルギス戦はベストメンバー(U―22代表勢を除く)、帰国して5日後の親善試合ベネズエラ戦は国内組を大幅に加えたほぼ別メンバーという編成にした。欧州組でも権田修一、柴崎岳、原口元気ら一部重複選手はいるものの、多くの「A代表候補」にチャンスを与えることになった。大きな意味があると感じている。経験の少ない選手や若手なら特に「代表とは何か」を学ぶ場となる。常連組に交じって一緒に練習するだけで成長を呼び込めるからだ。

 かつて中村俊輔にこんな話を聞いたことがある。プロ2年目の98年2月、オーストラリアでの代表合宿に初めて呼ばれた経験が、後にどれほどプラスになったかを。「練習だけじゃなくて、先輩たちが食事のときにどうしているか、空いた時間をどう使っているか、細かい一つ一つが勉強になった。それらのことを通じて代表の重みを知ることができた」

 代表は勝たなければならない宿命にある。と同時に代表の重みと誇りを持つ選手たちの絶対数を増やしていくべく、新陳代謝を促す必要もある。胸に温めてきたプランなのだろう。大胆なツープラトン編成は日本代表の重みと誇りを知る人だからこそできたマネジメントだと言えまいか。(スポーツライター)

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