千賀、甲斐、周東 育成選手が大舞台を経験できる常勝ホークスの好循環

育成ドラフトから侍ジャパン入りまで成長したソフトバンク・周東
育成ドラフトから侍ジャパン入りまで成長したソフトバンク・周東

 大型補強を繰り返す一方で、立身出世のストーリーも目立つ。22日の日本シリーズ第3戦(東京D)の試合前。三塁ベンチ前で野球ファン、猛虎党で知られるタレントの松村邦洋さんがソフトバンクの甲斐拓也に声をかけていた。

 「この間もドラフトを見て思ったんですけど、育成ドラフトが始まる前にテレビ中継が終わってしまうのは残念ですね」

 「甲斐キャノン」の代名詞でホークスの扇の要をがっちり守る26歳も、2010年の育成6位で入団した。当時のドラフトの思い出は忘れることがないという。

 「僕も呼ばれた時刻は19~20時と遅かったんです。でも、その悔しさのおかげで、今はこうやって頑張れているんですよ」。実に爽やかな笑顔で話していたが、言葉の端々には反骨心がにじみ出ていた。

 ホークスは05年から今秋までの育成ドラフトで計65人を指名している。夢かなわぬまま、球界を去った選手も多いが、今シリーズでも甲斐だけでなく、千賀滉大、牧原大成ら育成ドラフト出身の7選手が40人枠に名を連ねていた。

 層の厚いホークスの中で支配下登録を勝ち取るだけでも血のにじむような努力を重ねてきたことは間違いない。ただチームがこれだけ強いと、1軍に食い込めば一気に大舞台を踏む機会が訪れる。

 博多からに東京に入る移動日の21日、代走の切り札の周東佑京の表情は自覚にあふれていた。第1、2戦ではいずれも代走で起用され、見事にホームを踏んでいた。

 「CSの時は最初、緊張で足が震えて思いきってスタートが切れなかったんです。本当は注目されたりするのは得意じゃない。でも、だいぶ自分のペースで試合に入ることができるようになってきました」

 17年の育成ドラフト2位で入団。今年3月に支配下登録されたばかりの「走り屋」は先輩ナインに引っ張られ、優勝争い、頂上決戦に身を投じた。いまや自慢の快足を武器に稲葉ジャパン入り。東京五輪のジョーカーとして期待を集めている。

 プロ野球の取材現場にいると、「育成」か「勝利」かの議論に直面する。ただ、ここ6年で5度の日本一に輝いたソフトバンクほど、緊張感あふれる中で試合を重ねたチームはない。

 真剣勝負の中でこそ、成長曲線は急上昇を描く。松田、内川ら主力の高齢化は進んでいるものの、黄金時代はしばらく続きそうだ。

(記者コラム・表 洋介)

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