フィギュアスケートのGPシリーズ第2戦、スケートカナダで羽生結弦(24)=ANA=が自己最高得点を更新する322・59点をマークし初優勝した。以下、一夜明け取材の一問一答全文その2。羽生の次戦はGPシリーズ第6戦のNHK杯(11月22日開幕、札幌)。
(レコーダー置き用の椅子にあるレコーダーから「ファイルがいっぱいです」の音声)
「あ、大丈夫じゃないですね。止まってますねえ。しかもホールドされてますねえ。ファイルがいっぱいらしいです(笑い)」
―スケートカナダ4度目の正直?
「あははは(笑い)4度目の正直って言うんですかあ? うん。本当にほっとできました」
―一夜明けて?
「まあ、初戦の勝てないジンクスは去年、ヘルシンキという、自分にとって素晴らしい環境のなかでやったことで、ジンクスが晴れた。今年もそれを一つずつ晴らしていこうと思っていて。実際まあ、達成してみてうれしいですけど、一夜明けた感触としては、演技内容としてここまで評価していただいたのが、ほっとするところです」
―ジャンプのつなぎなどを意識してやってきて、それが評価されてうれしかったと。今季初戦のオータムクラシックから今回のスケートカナダまでに感じてきたこととは?
「ざっくり言えば、つなぎをだいぶ外そうかなっていうふうに思っていた。ジャンプの確率を上げるためにはスピード落として、しっかり静止した状態から体勢を整えてから跳ぶ方が、明らかに確率は上がります。力も使えるので、ジャンプ自体も高くなったり幅が出たりっていうこともあったんだと思います。ただ、それをしようと思ったんですけど、僕にはやっぱり、その道ではないなっていうことを感じながらこのスケートカナダに来た。実際それをもう一回ぶつけてみようと思って、ぶつけた結果、こういう結果になった。この自分の武器を生かしてやっていきたいなというふうに思いました」
―今回何度か、今、壁が見えていると口にした。乗り越えたときにいっそう強い羽生結弦が?
「なんか確信みたいなところをついているんですけど、その確信がまだ自信になっていないっていうか。まだ手探りな状態を、繰り返している状態。だからそれが確信に変わったときに、もっと強くなれるかなって思ってはいます」
―手探りとは課題がまだあるということ?
「まだうまく自分のなかでコントロールしきれていないみたいな状態です。そこのいい所に入ったり入らなかったりみたいなのを繰り返している。その曖昧な部分ではなくて、しっかりと、いい所にストンて入りたいなと思っています」
―子供の頃からずっとハイレベルな戦いをやりたいと言っていた。4回転ループや、昨日の3連続となど世界初を成功させてきて、その夢がかなってきたが?
「でも、トウフリップはやっぱりおまけみたいなもの。トウアクセルもそうだったんですけど。世界初って…世界初かもしれないんですけど、コンビネーションなので、そこまで喜ぶようなものではないかなと思っています。ただ、得点を上げるという点に関しては、着実に強くなっていかないといけないなって思っているので、その、強くなるうえで、こういうことが出来ているのはうれしいなと思います」
―練習でしゃがんでからループを跳んでいた。具体的にいつから?
「小学校2年生くらいから全ジャンプを、あの入りから全部やっていて。その当時まだ小学生だったので、何が目的かなんてわからずに、先生に言われるがままにやっていました。実際は最終的に今感じているのは、軸の取り方だとか、足の滑らせ方とか、そういったものに今は生きているなと思います」
―フリー「Origin」の完成度はまだ20~30パーセントと言っていた。僕らからみるとそうは思えないのだが?
「アハハハハハ」
―残りの70パーセントとは?
「自分のなかのイメージみたいなものですかね。自分のなかのイメージをもっと表現しきりたいっていうのもあります。言葉で表現するのがちょっと難しいんですけど、理想型としての表情のつけかただったり、表現の仕方だったり、またはプログラムとしてのオーラだったり、雰囲気だったり、そういったものに関しては全然足りないと思っています」
―高難度のジャンプと自分の強み、どう両立していく?
「もちろん難しいジャンプはやりたいとは思っています。絶対に必要だとは思っているので。ただ今回、自分のジャンプにまた自信をもつことができ始めてはいるので、しっかりとその自信をもちながら、ただ高難易度になった場合でも、自分の質を消さないように、この質の状態のままで高難易度が出来るようにっていうことを意識してやって行きたいなとは思っています。はい」
―300点とか、カナダ初Vとか強いプレッシャーを自分にかけていた。結果を受けたうえで、次のNHKは?
「NHK杯はNHKで考えようかなと思っています。もちろんファイナルに行くために必要な試合というような位置づけもありますし、あとはファイナルまでの期間が短いからこそ、すごく慎重にやらなくてはいけないっていうこともある。また2戦目でけがをしやすいっていうのも、もちろん頭の中に入れつつやっていかきゃいけないと思う。いろんなリスクを考えながら、そのうえで最大限自分が出来ることを、トレーニグとして積んできたうえで試合に臨みたいと思っています」
―今回の3連続技や、トウループ―アクセルについて、少しでも点数に影響しなければ入れる意味がないと。五輪後には、自分のやりたいスケートをやりたいと言っていた。どのように自分のなかで変化があって、点数を取りに行きたいと?
「去年のオータムクラシックの時に、すごいフワフワした状態でやっていて、それがアクセル跳んで早くやめたいみたいな、フフ。感じのところが、若干はあったんですね。やっぱり競技続けることが、どれだけ大変かっていうのを覚悟しなきゃいけないと思ってますし、実際今、競技を続けているうえで、ものすごく色んなものを削ってやっているとは思っています。だからこそ、削っているうえでそんな中途半端なことしたくないなって思ったんですよ。で、今やっと、スケートカナダが終わった段階で、やっと、その自分がしたいスケート、自分が目指したい理想のスケートと、高難易度ジャンプ、自分の夢だったアクセルだとかルッツだとかそういったものが、やっとイコールになってきた状態なんですね。だからこそ、それも含めて、質の高い演技をしたいなって思っています」
―スケートカナダの勝利は大きなものだった?
「そうですね。かなり大きかったです。320を超えたのが本当に久しぶりだったっていうのもありますし、ヘルシンキ以来ですかね? ヘルシンキワールド以来だと思うので。あのときはまだ、エレメンツももう一個多いですし。あの時以来に、久しぶりにいい演技ができた。これからまた自信をもって、自分は羽生結弦なんだってまた言い聞かせながら練習したいなと思っています」
(終了)
「ありがとうございました」