巨人から育成ドラフト1位で指名を受けた四国IL・徳島の平間隼人内野手(22)が29日、徳島市内のホテルで長谷川スカウト部長らから指名あいさつを受けた。「追いつけ、追い越せなので」と先輩・増田大の背中を追いかける。
自身が入団した15年、同チームで増田大とともにプレー。その年に先輩は巨人から育成1位で指名された。「今まで遠い存在だったNPBの世界がすごく近く感じた。頑張ったらいけるかもしれない」と、夢を与えてくれた。
野球人生の転機は3年目のシーズンを終えた後。家庭の事情で一度、野球をやめた。「小さい時からずっと野球だけをしてきた人生だったので、これが普通の社会人なんだ、と」と、電気工事士として街中を作業着で走り回った。仕事のリフレッシュに週に1回程度、軟式草野球チームで汗を流した。
何気ない日々を過ごすうちに、もどかしさが募っていった。「このままでいいんかな。この生活は10、20年たってもできるけど、野球は10年たって『今から!』といっても無理。この1年にかけてみよう」。半年間で電気工事士をやめ、18年後期からチームに戻った。
「戻った後は死ぬほど練習した」。守備範囲の広さと50メートル5秒9の俊足を武器に、今季はリーグで盗塁王(43盗塁)に輝いた。不断の努力と野球への強い思いは、とび職人の経験を経て、プロ野球選手になった増田大の姿と重なる。「1軍の東京Dの舞台で活躍したい」。平間が狙うのは、1年目からの支配下登録だ。(小林 圭太)