W杯本大会まで見過ごせない 日本代表のサイドバック問題

10日のモンゴル戦に出場した安西幸輝
10日のモンゴル戦に出場した安西幸輝

 2022年カタールW杯に向け、アジア2次予選で開幕3連勝を決めた森保ジャパン。滑り出しは順調だが、気がかりな点はある。早くも主力が固定された雰囲気が出てきていることだ。

 顕著なのがDFライン。現体制以前からセンターバックの吉田や長友、酒井宏の両サイドバックは不動の地位を築いており、冨安は今年に入って吉田の相棒を務めるまでに成長を遂げた。吉田と長友はベテランの域に達していることから、本紙は以前から守備陣の高齢化を指摘している。なぜ気がかりかといえば、サイドバックが他のポジションと比べて「人材難」とされるからだ。

 この話題について、今夏J1神戸に新加入した元日本代表DF酒井高徳(28)から聞いた話が強く印象に残っている。酒井高は10年1月のアジア杯予選でA代表に初招集。両サイドをこなせるサイドバックとして重宝され、代表では42試合に出場し、14年ブラジル大会、18年ロシア大会と2度のW杯を経験した。ロシア大会後に日本代表引退の意向を表明。現在は所属クラブでの活動に全力を注いでいる。

 神戸での練習後、「なぜ日本はサイドバックが育っていないと言われるのか」を聞いてみると、酒井高は「違うんです。育ってないんじゃなくて育てていないんですよ」と指摘した。「僕と(酒井)宏樹は代表には入ってましたけど、長い間結果を残し続けてきたわけじゃない。宏樹だって前回大会(ロシアW杯)まではそこまでスタメンでは出てないし。その我慢をしてまでサイドバックを育てているか、というところ。もちろん(人材が)出てこないといけないのが問題ですけど、出てこないからベテランを使っているの?っていう話になるわけで。勝たないといけない状況の試合をそういう立場の選手がこなさない限り、成長はないと思うんです」と熱っぽく語った。

 現在、長友の後継者として期待されるのが鹿島からポルティモネンセ(ポルトガル)へと移籍した24歳の安西幸輝だ。酒井高も同じポジションの選手はチェックしているようで「僕なんかよりも全然良いものを持っている」と評す。神戸での安定感あふれるプレーを見ている記者が「酒井選手の方が安定感があるのでは?」と水を向けると「僕だって安定してないって言われてましたから、ずっと。DFは失敗しないと成長しないので。失敗した分、それだけ引き出しが多くなり、その時に初めて安定感になる。安定感は経験ですから」と、実戦で経験を積むことの重要性を力説してくれた。

 アジア2次予選では、今月10日のモンゴル戦で冨安と酒井宏が負傷。出場機会に恵まれない選手にとって格好のチャンスとなり得たが、15日のタジキスタン戦で先発したのは離脱した冨安に代わって招集された室屋でも安西でもなく、酒井宏だった。

 負けが許されない格下相手の試合は確かに難しい。確実に勝ち点3をものにするための布陣を敷いた森保監督の胸中も理解できる。ただ、その一方で「試合を経験しないと成長できない」との酒井高の言葉も、実体験とあって重みがある。W杯への道はまだ半ばだからこそ「育てながら勝つ」。この難題にチャレンジしてほしい。(記者コラム・種村 亮)

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