59歳で結婚し、独身キャラを卒業した落語家・春風亭昇太が19日、都内のホテルで披露宴を行った。落語界では「笑点」メンバーを始め、立川志の輔(65)、笑福亭鶴瓶(67)ら、所属協会、団体の垣根を越えて人気者が勢ぞろいした。
出席した関係者によると「いたって普通の披露宴」だったという。ウェディングケーキ入刀やファーストバイトあり。新郎新婦のこれまでの歩みをビデオで紹介するなどオーソドックスの進行だったという。
ただ、一般人の結婚式との違いもあった。式が始まり乾杯を済ませると、数人が式場を出て帰りだしたのだ。2人の出会いを作り、キューピッド役として新婦側であいさつをした鶴瓶とヨネスケこと桂米助(71)はものの十数分で、式場を後にした。鶴瓶は大阪へ帰り、米助は池袋演芸場での柳亭小痴楽の真打ち昇進披露興行へと向かった。
笑点メンバーもまたしかり。林家木久扇(82)は秋田での落語会のため欠席だったが、三遊亭小遊三(72)と三遊亭円楽(69)は埼玉・飯能で二人会を、三遊亭好楽(73)と林家たい平(54)は群馬・館林で二人会をやっており、新郎側のあいさつがあった小遊三、司会のたい平はそれぞれ出番を早くして、一足先に会場入り。円楽、好楽は、それぞれの会でトリを務め、式が始まってからやや遅れて会場入りした。
そもそも、落語界には不思議なしきたりがある。真打ち昇進や襲名披露のパーティーでは乾杯のあいさつの直後に“中締め”を行う。パーティーはその後も続くが、これは、仕事で中座する人が多いため、気を遣わないで済むようにという配慮だと言われている。
春風亭一之輔(41)は途中退席し、近くのホールで一席行い、再び戻ってくる“離れ業”までやってのけた。そんな行動でもマクラで話せば笑いで回収できる。
演劇などとは違い、落語家は一人で演じる芸能だからこそ、臨機応変に動くことが出来る。それでもそう簡単にはできることではない。短い時間でも祝いの場に顔を出す。仲間の絆を大事にして、フットワーク軽く行動できる姿に、人気者でいられるゆえんを感じた。(記者コラム・高柳 義人)