沢村賞、19年ぶり該当者なし…堀内恒夫委員長「賞のレベルをこれ以上、下げたくない」

沢村賞の選考委員会後、該当者がいないことを発表する堀内恒夫氏
沢村賞の選考委員会後、該当者がいないことを発表する堀内恒夫氏

 プロ野球創成期の名投手・故沢村栄治氏を記念した「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長)が21日、都内のホテルで行われ、19年ぶりに「該当者なし」と決まった。分業制が進み、選考基準を満たす「先発完投型」の投手は絶滅寸前。今回は巨人・山口、日本ハム・有原らが最終候補となったが、選考委は「賞のレベルを下げたくない」と授賞を見送った。

 「非常にもめた」(堀内委員長)という約40分間の選考委。5人の委員が出した結論は、2000年以来の「該当者なし」だった。

 最終候補に残ったのは、7項目の選考基準のうち、ともに両リーグ最多の15勝を挙げるなど4項目をクリアした巨人・山口と日本ハム・有原。しかし、山口は完投がなく、有原も1試合だけ。授賞の対象となる「先発完投型」投手としては物足りなさが残った。

 7項目の中で「200投球回以上」と「完投10試合以上」は到達者ゼロ。分業制が進み、先発投手の役割が大きく変わってきたことが改めて浮き彫りになった。堀内委員長は「野球のシステムが変わってきている」としつつも「賞のレベルをこれ以上、下げたくないというのが5人の意見。完投しなくてもいいとなると、沢村さんの名前に傷をつけてしまう」と、賞の“権威”を守る意味も含めた授賞見送りと説明した。

 今後も大幅に増えることは望み薄な先発完投。選考委では数年前から「日本版クオリティスタート(QS)」(7回以上3自責点以下、8回以降に4点目を失った場合を除く)を参考資料として加えている。だが、今年は山口がQS率46・2%、有原も同58・3%と“追い風”にはならなかった。堀内委員長は「QSなども考慮しなきゃいけないというのはあるが、時代に合わないから変えようという考えはない」と、選考基準の緩和に否定的な考えを示した。

 通算200勝以上の名投手が名を連ねる選考委。他の委員からも「(首脳陣が)最後まで投げさせてもいいという投手が、各チームに1人くらい出てきてほしい」(山田久志委員)、「分業制じゃなければ、山口君や有原君はもっと完投している」(平松政次委員)ら、先発完投型の“復活”を願う声が。また、堀内委員長は「(レギュラーシーズンの)162試合を日本より短い期間でやる米国では、100球で中4日は合理的なシステム。同じ100球で1週間空く日本はちょっとおかしい」と、日本の“過保護”ぶりにも苦言を呈していた。

 ◆沢村賞 正式には「沢村栄治賞」。史上初の無安打無得点試合を達成した伝説の大投手、故沢村栄治氏(巨人)を記念し、1リーグ時代の1947年に制定された。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる賞で、2リーグ分立の50年からはセ・リーグの所属投手だけが選考対象となり、89年から両リーグに広げられた。当初は記者投票で選出していたが、82年から沢村賞受賞経験者らによる選考委員会で選出している。今回の選考委員は堀内恒夫氏(元巨人、通算203勝)、村田兆治氏(元ロッテ、同215勝)、山田久志氏(元阪急、同284勝)、平松政次氏(元大洋、同201勝)、北別府学氏(元広島、同213勝)の5人。

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