ハネタク、日本カヌー界初4大会連続五輪「不思議な気持ちです」

◆カヌースラローム東京五輪日本代表最終選考会 NHK杯 最終日(20日、東京・カヌー・スラロームセンター)

 16年リオ五輪男子カナディアンシングル銅メダリスト・羽根田卓也(32)=ミキハウス=が、日本カヌー界初の4大会連続五輪出場を決めた。準決勝を4位で突破して上位10人で争う決勝に進出。決勝ではノーミスで93・90の好タイムでまとめて3位に入り、東京五輪切符に花を添えた。カヌー界の象徴として活躍する男は、リオを超える成績を狙う決意を示した。男子カヤックシングルの足立和也(28)=山口県体協=らも代表に決まった。

 五輪の会場で、ハネタクがよみがえった。10人で争う決勝。水の息遣いを読み、力強いパドルさばきでボートをコントロールした。ゲート接触などのミスを犯さず93・90の好タイムをたたき出した。今季の国際大会では自身最高の3位。4度目の五輪をつかみ、またキャリアに勲章を増やした。「4回という数字は想像していなかった。それが東京になるのは夢にも思っていなかった。夢を見ているような不思議な気持ちです」。32歳の好青年は、しみじみとその意味を味わった。

 トンネルを抜け出した。17年の世界選手権以降、W杯や世界選手権では良くて準決勝止まり。昨年のアジア大会では金メダルを獲得したものの、国際舞台で表彰台は遠かった。リオ以降、「現状維持は後退」と胸に刻んだ。スピードを求め、パドルを約3センチ延ばし、座る位置もミリ単位で試行錯誤。しかし、肉体の変化と、道具のセッティングが合致しない。もどかしい日々に「チキショー」と反骨心を燃やしてきた。

 本番と同じカヌー・スラロームセンターに世界の強豪が集結。18日の予選のひとこぎめから復活の手応えを得ていた。「うまくいっているときは、あまりボートがぬれていなかった。ボートはどうしても水を吸う物体。ウェアなどもぬれれば、1、2キロ分重りになってしまう」。ウォーミングアップであまり水をかぶらないようにしたり、中に水が入らないよう慎重に乗降した。ほんの少しの重さが、コンマ何秒を左右する競技。「元の自分の感覚でこげた」と、答えを探し当てた。

 同世代の選手が代表争いに敗れる中で、たどり着いた東京の舞台。はじけるような笑顔はないが、それは五輪の重みや期待の大きさを痛感しているからだ。「自信が確信に変わった。(銅メダルの)リオ以上を目指してやっているし、それが求められていること」。“平成の怪物”こと松坂大輔投手のような力強いセリフが、説得力を持って響いた。(太田 倫)

 ◆日本人の4大会連続五輪 カヌー界では羽根田とカヤックシングル男子の矢沢一輝が3大会連続で並んでいたが、矢沢がこの日の代表選考で足立に敗れたため、羽根田の4連続が初の快挙となった。他競技の近年では競泳の北島康介、女子レスリングの吉田沙保里、伊調馨、女子バレーの木村沙織ら、そうそうたるメンバーがいる。

 ◆羽根田 卓也(はねだ・たくや)1987年7月17日、愛知県生まれ。32歳。小学3年でカヌーを始め、杜若高を卒業後、単身スロバキアに渡る。09年にコメニウス体育大学に進学し、同大学院を卒業。16年リオ五輪のカヌー・スラローム男子カナディアンシングルで銅メダルを獲得。175センチ、70キロ。ミキハウス所属。趣味はギター。

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