鈴木みのるは獣神ライガーを葬ったのか? どうなる”平成プロレス総決算“…金曜8時のプロレスコラム

鈴木みのるが獣神サンタ゛ー・ライガーにゴッチ式パイルドライバーを見舞う。寂しそうな表情に見える(カメラ・森田 俊弥)
鈴木みのるが獣神サンタ゛ー・ライガーにゴッチ式パイルドライバーを見舞う。寂しそうな表情に見える(カメラ・森田 俊弥)

 ◆新日本プロレス「KING OF PRO-WRESTLING」大会 ▽スペシャルシングルマッチ 〇鈴木みのる(17分38秒、ゴッチ式パイルドライバー→体固め)獣神サンダー・ライガー●(14日、東京・両国国技館、観衆9573人=満員)

 14日に東京・両国国技館で行われた獣神サンダー・ライガーと鈴木みのる(51)の一騎打ちを見た。メインイベントは、オカダ・カズチカ(31)とSANADA(31)のIWGPヘビー級選手権で、ライガーVS鈴木は、全9試合のうちの4試合目だったが、この試合だけのために、国技館を訪れた。

 来年1月4、5日の東京ドーム2連戦で引退する獣神サンダー・ライガーと、鈴木みのるのスペシャルシングルマッチを、”平成プロレスの総決算”と位置づけたいと思ったからだ。鈴木はゴッチ式パイルドライバーでライガーに勝利し、こう言った。「俺とあいつの17年、いや32年の男のけじめ」。両雄の17年と32年が何だったのかを振り返ってみる。

 鈴木みのるは32年前の昭和62年(1987年)に新日本プロレスに入門した。そこでライガーの前世(正体)と遭遇している。翌昭和63年(1988年)にデビューし、平成元年(1989年)3月15日(愛知県体育館)に前座試合でアントニオ猪木と対戦するチャンスに恵まれ話題になった。

 獣神ライガー(後にサンダーにグレードアップ)は、初のドームプロレスとなった平成元年4月24日の新日本プロレス初の東京ドーム大会「格闘衛星☆闘強導夢」でデビューした(小林邦昭に勝利)。鈴木は、このドーム大会を前に、師匠・藤原喜明について新生UWFに移籍。同年11月29日のUWF東京ドーム大会(U-COSMOS)に出場し、モーリス・スミスにKO負けしたものの名前を売った。

 以降、総合格闘技の渦に飲まれていった平成プロレスにあって、両雄は総合に対応する実力を磨きながら、プロレスを進化させ、「KING OF SPORTS」(プロレスこそ最強の格闘技)を守ってきた。

 鈴木は、プロフェッショナルレスリング「藤原組」を経て、平成5年(1993年)に、同学年の船木誠勝とハイブリッドレスリング「パンクラス」を旗揚げ。長くは続かなかったが、メインイベントが1分以内で終わるという前代未聞の”秒殺のプロレス”を提起した。ライガーは、IWGPジュニアヘビー級王者として空中戦を展開しながらも、平成2年(1990年)に誠心会館の青柳政司館長と異種格闘技戦を行い流血レフェリーストップ勝ちしたり、平成6年(1994年)には、修斗を主宰していた佐山サトル氏と福岡ドームでエキシビションマッチを行うなど、プロレスラーの強さと凄みを追究してきた。

 17年前というのは、平成14年(2002年)に鈴木とライガーがパンクラスのリングで総合ルールで戦ったこと。鈴木がライガーをチョークスリーパーで絞め落として勝利した。勝った鈴木は、この邂逅でライガーに導かれたかのように、原点のプロレス回帰へと舵を切ったのだった。

 そして、令和元年。17年ぶりの一騎打ちとなった両国決戦。ライガーは、上半身裸で、マスクの角(つの)が縮小された対ヘビー級戦闘モード”バトルライガー“で登場し、日焼けしてパンプアップした肉体を鈴木に見せつけた。空中戦を封印し、手四つからアームロックをきめる、サブミッションレスリグを展開。お互いに仰向けになって、グラウンドレスリングを誘発し合った。

 だが、鈴木はマスクに手を掛け、角をつかんで場外戦に持ち込み、イスを振り回すラフファイトでペースを変えた。10分過ぎに、ライガーは掌底打ちから浴びせ蹴りの骨法技で凄みを見せ、鈴木の右腕をアームブリーカーで破壊。3回目の腕折りを鈴木がスリーパーで切り返し、絞め落としにかかる。何とか立ち上がったライガーは垂直落下式ブレーンバスターで反撃したが、カウント2。張り手とエルボーの応酬でライガーは力尽き、鈴木にゴッチ式パイルドライバーを決められ、カウント3を聞いた。

 大の字に倒れるライガーに、鈴木はイスを振り上げたが、途中で放り投げて、手をついて座礼。新日本時代に藤原組長の下でともにスパーリングしていた時の儀式で、かつての先輩に敬意を表した。目頭をぬぐいながら鈴木は無言でリングを後にした。息を吹き返したライガーはマイクをつかみ「鈴木、ありがとう」と感謝の言葉を口にした。

 バックステージで鈴木は「もう限界ですと言ってやめていくやつと、先頭を走ってるやつ。お前が何やったって勝てるわけねえじゃん。俺とあいつの17年、いや32年の男のけじめ」と締めくくった。これで、決着、終わりかと思ったら、花道を下がってきたライガーのコメントは違った。

 「今日は負けた。ここまで俺をブチ切れさせたのはあいつぐらいじゃないか。そのことに対しては、ありがとう。1・4まであと約3か月。諦めない。怒りMAX、頂点でリングに上がるよ。次、やった時は、なめんなよ。これで終わりにしたくない。引退までの通過点で終わりたくない。レスラーっていうのは、負けたら根に持つ。絶対に仕返ししてやる。新日本プロレス、もう1回、鈴木とシングル組め。どこでもいつでもいいから、組め」と抗争に終止符を打たせなかった。

 両国決戦の翌15日、東京・六本木のテレビ朝日で「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」(来年1月4、5日)の対戦カードが発表された。ライガーの4日の試合は「引退試合1」と題し、藤波辰爾、ザ・グレート・サスケ、タイガーマスクと組んで佐野直喜、大谷晋二郎、高岩竜一、田口隆祐組と対戦する8人タッグマッチに決定。ライガー組にはエル・サムライ、佐野組には小林邦昭がセコンドにつき、保永昇男氏が特別レフェリーを務める。5日の「引退試合2」は未発表で、6日の大田区総合体育館大会での引退セレモニーも決まった。

 私が最後だと決めつけて両国に行ったように、フィニッシュを見て、ライガーと鈴木の抗争はこれで終わるべきだと思ったファンは多かったようだ。エキストララウンドはあるのか、ないのか? 1・6にセレモニーを行うということは、1・5ではセレモニーができないような展開になるのか? 推理しだしたらキリがない。平成前期で終わったはずの、”活字プロレス“が、令和最初の東京ドーム大会に向けて渦巻いている。(酒井 隆之)

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