国際オリンピック委員会(IOC)が、東京五輪の猛暑対策として陸上のマラソンと競歩を札幌で開催すると東京五輪・パラリンピック組織委員会と合意した。05年ヘルシンキ世陸男子マラソン銅メダルの尾方剛氏はスタート時間の再考を提案した。
北海道マラソンを開催している札幌だが、五輪となれば警備態勢などの運営方法は全く異なる。11月から3月までは降雪のため距離計測も難しく、それ以降にコースが確定することになる。プレ大会の開催も考えると、厳しいスケジュールになるだろう。
私は、もともと東京ではなく北海道で開催すべきと思っていた。07年大阪世界陸上で5位に入ったが、半端ではない暑さに苦しんだ(気温29度、湿度78%=7時スタート、途中棄権28人)。やはり、ロード種目は涼しい環境下が望ましい。気温よりも湿度が低い分発汗量は減り、走りやすいはずだ。
ただ、スタート時間は再考する必要がある。午前6時では日が昇っている。気温など数字以上に、直射日光によって体力を奪われかねない。日本人選手は東京開催を想定して取り組んできたこともあり、暑くなった方がチャンスがあった。走りやすい条件が整うことでアフリカ勢による高速マラソンが展開される可能性もある。今後の決定に従って全力を尽くすしかない。(広島経大監督)