飯伏幸太「常に僕は限界MAX」…「ゴールデン☆スター」は東京Dのメインイベンターに昇りつめても変わらない

14日の試合で高角度のドロップキックでEVILを攻める飯伏幸太(カメラ・森田 俊弥)
14日の試合で高角度のドロップキックでEVILを攻める飯伏幸太(カメラ・森田 俊弥)
飯伏幸太の必殺技・カミゴェがEVILに炸裂
飯伏幸太の必殺技・カミゴェがEVILに炸裂

 この男の切迫感、常に後がない危機感たっぷりの生き方は全く変わらない。そんなことを1人の超人気プロレスラーにぶつけた質問への答えを聞いて思った。

 新日本プロレスの年間最大のイベント、来年1月4、5日の2日連続で開催される東京ドーム大会「WRESTLE KINGDOM14 in 東京ドーム」の第1弾対戦カード発表会見が15日、都内で行われた。

 目玉中の目玉が4日のメインイベントで行われるIWGPヘビー級王者・オカダ・カズチカ(31)と8月のG1クライマックス王者・飯伏幸太(37)が激突する超大型タイトルマッチ。前夜の東京・両国国技館大会でEVILを下し、王座への挑戦権利証を死守した飯伏は、オカダとともにスタイリッシュなスーツ姿で登場した。

 「昨日はこのIWGPの権利証をかけて戦ったけど、無事勝てて、この場にいる。最高です」と端正な顔をほころばせると、「最初から、G1に優勝した次の日の会見から僕は言い続けている。インターコンチ(ネンタルヘビー級)、IWGPヘビーの2つのベルトを同時に巻きたい。ここは今でも変わりません。もっともっと、プロレスを広めたいから」ときっぱりと続けた。

 前夜の試合後のオカダの発言。「IWGPヘビーのベルトもオカダもそんなに軽くない」を受け、「IWGPヘビーのベルトをなめているとかそういうのは全く思ってない。オカダさんに対しても価値が低いとは思ってない。むしろ高いと思ってます」と笑顔を見せると、自身初の東京ドーム大会のメイン登場についても「何年か前にWメインイベントでやったけど、実質はセミファイナルでした。本当のメインは今度が初めて。すごく楽しみです。僕もドームを超、超満員にしますよ」と言い切った。

 隣に座った王者・オカダを「(ベルトを)持っている期間がちょっと長過ぎないですか? 持っている期間が―」と挑発。「最強だから、これだけ長い期間、ベルトを持ち続けられる。そこは本当に素晴らしいと思っていますけど、僕はさらにそこを超えていきたい。最強の部分でも超えていきたい。新しい景色を見せたいです」と続けた。

 終始、笑顔で満ち足りた口調。そんな表情を見ているうちに「私が思っている飯伏像とは、どこかが違う」―。少しだけ違和感を覚えた。

 1対1で初めて話したのは東京・木場のスタジオだった。昨年2月、「スポーツ報知」の女性向けページ「L」欄に登場してもらうため、出演するミュージックビデオの撮影先に押しかけ、70分間に渡って話を聞いた。その時から口にしていたのが、「年齢的にも僕には後がない。常にこれが最後という気持ちでリングに上がっています」という言葉だった。

 あの常に身にまとっていた切迫感、危機感はG1クライマックス初優勝とKENTA、EVILと難敵を連破しての王座挑戦権利証死守で薄れてしまったのか。そんなことまで思ったから、思い切って聞いてみた。

 「常に自分には後がない、時間がないと切羽詰まった形で戦ってきた飯伏さんだが、G1優勝と東京ドームという日本プロレス最高の舞台で新日最強のオカダさんとの対戦が決まったことで、切迫感より満足感が上回ってしまったということはないのか」―

 いつものように、じっとこちらを見つめて微笑んだ飯伏は「そこは常に変わらないですね。常に僕は限界に来ているので。ずっとMAXで走り続けています。変わらないです」そう、きっぱりと答えてくれた。

 そう、「小学校を卒業する頃には今、やっている技が全部できた」という類いまれな身体能力に加え、キックボクシングの大会での優勝経験を持つ打撃力、さらにマット界一、二を争うルックスで20代前半から「ゴールデン☆スター」として期待を集めて続けてきた天才児は、デビュー15年目を迎えても全く変わらない。

 常に心にあるのは、1年前の単独インタビューの際も口にしていた「プロレス界全体のプロモーションをしていきたい。プロレス界の歴史を変えていきたいと思っています」という思い。芸能活動について大手芸能プロダクション・オスカープロモーションと契約しているのも、バラエティー番組で「精神年齢14歳のプロレスラー」として無防備な素顔をさらすのも、路上プロレスで全身に花火を浴びてネット上で話題となるのも、すべては「僕を入り口にしてプロレスに触れてくれればいい」という願いからなのだ。

 だからこそ、G1優勝直後のリング上でも「僕に言う権利が回ってきたんで言わせてもらいます。こうやって、みんなで、新日本プロレスを、プロレス界を盛り上げて行きま~す!。みんな、ついて来て下さい」と絶叫したのだ。

 そんな「プロレス小僧」としての思いは、たとえ、プロレスラー全員があこがれる東京ドームのメインイベンターの座に昇りつめても全く変わらない。

 そして今、飯伏は新たな挑戦に臨む。G1優勝一夜明け会見で表明した4日にIWGPヘビー王座を奪取した上で5日、IWGPインターコンチにも挑戦。2日間で2冠に輝いてしまおうという前代未聞のチャレンジ。いまだに二つのベルトを同時に巻いたレスラーはゼロという偉業に2日連続で挑戦、同時に獲得してしまおうという狙いだ。

 そして今、プロレス界最大の祭典・東京ドーム大会の主役になろうとしている「ゴールデン☆スター」は最強の男・オカダの隣で言った。「IWGPヘビーのベルトは実は一度も手にしたことなくて。そのベルトに価値がないと僕が思っているように思われているけど、最強の人が巻くベルトだし、そういういう意味ではIWGPは金メダル。インターコンチだって最高の意味で金メダル。どっちも金メダルと思っているので、僕はどっちも欲しいです」。貪欲過ぎる、その言葉はズッシリと私の心にも響いた。

 欲望もあらわにプロレス界の顔に昇りつめようとしている飯伏。すべてはプロレスの未来のため。37歳の挑戦を、私は全面的に支持する。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆飯伏幸太(いぶし・こうた) 1982年5月21日、鹿児島・姶良(あいら)市生まれ。37歳。キックボクシングや新空手を修得し2004年7月、DDT東京・後楽園ホール大会でのKUDO戦でレスラーデビュー。09年からは新日本プロレスに参戦。ケニー・オメガとのタッグチーム「ゴールデン☆ラヴァーズ」で活躍。11年にはIWGPジュニアヘビー級王座を奪取。13年、DDTと新日のダブル所属を発表。15年にはAJスタイルズの持つIWGPヘビー級王座に挑戦するなどエース格に成長も16年2月、両団体からの退団を発表。個人事務所・飯伏プロレス研究所を設立。フリーランス選手として各団体のリングに立つ一方、路上プロレスなどの活動も。今年4月、新日への再入団を正式表明。同月の米ニューヨーク・マディソンスクエアガーデン大会で内藤哲也を下し、初めてIWGPインターコンチネンタル王座に就くも6月、内藤に敗れ陥落。今年8月のG1クライマックスで初優勝。IWGPヘビー級王座への挑戦権利を獲得した。愛称は「ゴールデン☆スター」。181センチ、92キロ。

14日の試合で高角度のドロップキックでEVILを攻める飯伏幸太(カメラ・森田 俊弥)
飯伏幸太の必殺技・カミゴェがEVILに炸裂
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