東京五輪とほぼ同コース・MGCが水泡 IOCの札幌開催提案の“元凶”はドーハ世界陸上…記者の目

9月15日、MGCの男子で、新国立競技場を背に走る服部勇馬(左端)ら
9月15日、MGCの男子で、新国立競技場を背に走る服部勇馬(左端)ら

 国際オリンピック委員会(IOC)は16日、東京五輪の猛暑対策として陸上のマラソンと競歩を札幌開催に変更する案の検討に入ったと発表した。東京より気温が約5度低く、地理的な条件などを理由としている。五輪開幕まで1年を切り、IOCが会場変更を提案するのは異例の事態で、実現には難航も予想される。猛暑を見据えて準備を進めてきた現場サイドでは驚きと戸惑いの声が上がった。

 これまでの日本長距離界の努力が水泡に帰すような提案だ。MGCでは男女各2人がマラソン代表に内定。暑熱対策など、すべてが20年への試金石となったレースで、男子を制した中村匠吾は「このコースを全力で走れたことは五輪へもプラスになる」と喜んでいた。

 コース決定時から暑さは懸念されていたが、路面は少しずつ遮熱舗装され、スタート時間の前倒しなど対策はしてきた。MGC上位5人に対しては国際陸連から「五輪参加標準記録突破者と同等にみなされる」と参加資格の付与もあった。

 競歩は無料で観戦可能だが、新国立競技場でマラソン発着を観戦するチケットは販売されている。コース設定からやり直す必要があるが、陸上関係者からは「非現実的。1年を切った段階では厳しい」との声が上がる。札幌市では夏に北海道マラソンを開催しているものの、運営面での準備期間は足りない。日本陸連幹部も「全く知らなかった」と驚きを隠せない。

 今回の提案の“元凶”は猛暑で男子18人、女子28人の途中棄権者を出し今月6日に閉幕したドーハ世界陸上にあるのだろう。気温30度前後のレースで東京と同様の暑熱下と見る向きもあったが、湿度は70%超で「東京よりドーハの方が厳しい。比較にならない」と指摘した関係者もいる。ただ、日なたの内堀通りを往復する競歩のコースは都内で再考すべきだと思う。

 私自身、五輪男子マラソンの1年前にあたる8月9日にはコースの半分を走り、その過酷さを肌で感じた。だからこそ、それを乗り越えるための努力は計り知れないものであると知っている。選手やスタッフが一丸となって取り組んだ綿密な準備を愚弄する、場当たり的な判断だと感じる。(マラソン担当・太田 涼)

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