藤浪らと対戦したかつての甲子園スター、回り道を経て月給10万円生活からドラフトへ

スポーツ報知
17日のドラフト会議で指名を待つ四国IL徳島の岸潤一郎

 プロ野球のドラフト会議が17日に行われる。大船渡(岩手)の佐々木朗希、星稜(石川)の奥川恭伸(ともに3年)、明大の森下暢仁(4年)の3投手に人気が集中する一方、努力の末にプロ注目となった男たちもいる。スポーツ報知では「17日令和初ドラフト 夢へトライ」と題し、3回にわたって紹介する。第1回は、明徳義塾高(高知)で甲子園に4度出場した、四国IL徳島の岸潤一郎外野手(22)。

 22歳になった岸は、紆余(うよ)曲折を経て、四国IL徳島にいた。「1回、野球をあきらめて、また独立リーグで野球をやらせてもらった。プロを目指してやってきた」と、現在の心境を明かした。

 明徳義塾高では甲子園に4度出場し、通算6勝(3敗)。最速146キロに高校通算26発と投打二刀流で魅せた。1年夏は4強入り。3年夏の1回戦では強打者・岡本(現巨人)を擁する智弁学園(奈良)に4失点完投勝ちした。18U日本代表では岡本とともに活躍し、アジア選手権準Vに貢献。プロ志望届を提出せず、拓大に進学。1年春から東都大学リーグに出場したが、2年夏に野球人生が暗転した。

 右肘を手術し、3年秋に大学を中退した。「野球ができない言い訳にしていた」と、けがが一番の理由だった。「絶対、野球なんかやらん! 草野球ぐらいしようっかな」と、道具はバット1本しか残さなかった。その後の2か月間は「『無』だった。何も考えていなかった」と目標を見失った。

 地元に帰り、兵庫・西宮市の野球教室でリハビリを兼ねてアルバイトを始めた。子供に野球を教える中で「野球っておもろいな」と、前向きになれた。その頃に徳島から誘われ、17年秋のトライアウトで特別合格した。現在は50メートル走5秒8の足が武器で、昨季は最多盗塁(38)と外野手のベストナインを獲得。今季は「1番・遊撃」などで年間総合優勝に貢献した。

 月給はシーズン中のみで10万円程度。シーズンオフに、うどん店や居酒屋でアルバイトをした。一方で、今でも交流がある岡本や、阪神・藤浪、西武・森、オリックス・山岡ら甲子園で対戦した好敵手たちはプロの一流選手となった。

 「大学に行った当初は『あの時、プロに行っておけばよかった』と思ったけど、今となっては、回り道できたことで、いろんなことも分かってきた」。あの夏のように、スポットライトを浴びることを信じて、岸は運命の日を待つ。(伊井 亮一)

 ◆岸 潤一郎(きし・じゅんいちろう)1996年12月8日、兵庫・尼崎市生まれ。22歳。明徳義塾高では甲子園に4度出場し、1年夏の4強が最高成績。3年時は主将。秋には長崎国体優勝。拓大を3年途中で中退し、18年から四国IL徳島でプレー。174センチ、78キロ。右投右打。

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