選手・スタッフへのパワーハラスメント(パワハラ)行為がJリーグの調査によって認定され、けん責と5試合の活動停止処分を受けた湘南の曹貴裁監督(50)に対し、クラブ側が現場への復帰を要請していることが6日、分かった。8月14日から指揮・指導を自粛している同監督は態度を保留し、辞任の選択肢を残しながら、慎重に判断する姿勢を崩していないという。
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あまりに被害者の心情を度外視した判断に映る。曹監督の行き過ぎた指導を受け、心に深い傷を負った選手・スタッフはチームに一定数残っている。J1残留に向けて必要なことは、チームが一枚岩になること。そのための最善策が、曹監督の復帰とは思えない。今オフの選手の大量退団にもつながりかねず、選手の獲得にも影響を及ぼす可能性だってある。
Jリーグの村井満チェアマンが「態度を改め、再起をしていただきたい」と語ったように、指導の範疇を超えた言動さえなければ、優れた指導者であることは間違いない。騒動が明るみになってもなお心から同監督を慕い、再起を願う選手も多くいるだろう。だがその再起の場は、残留へ向けてもう一度チームが一致団結しなければならない今の湘南ではないはずだ。