百戦錬磨のテレビマン・日テレ社長まで胸躍らせた「あな番」…“中毒性”たっぷりドラマの挑戦は続く

大きな話題を呼んだドラマ「あなたの番です」主演の原田知世と田中圭
大きな話題を呼んだドラマ「あなたの番です」主演の原田知世と田中圭
9月30日の定例会見で生中継を手がけるラグビーW杯日本代表のユニホームを着てポーズを取る日本テレビの小杉善信社長(中、左は福田博之取締役、右は廣瀬健一取締役)
9月30日の定例会見で生中継を手がけるラグビーW杯日本代表のユニホームを着てポーズを取る日本テレビの小杉善信社長(中、左は福田博之取締役、右は廣瀬健一取締役)

 1か月前に最終回を迎えたドラマの話題を今さら蒸し返すことを許して欲しい。

 先月30日、東京・汐留の日本テレビで行われた小杉善信社長(65)の定例会見。6月27日に就任したばかりのトップが目を輝かせて答えた質問があった。

 「大好評のまま終了した『あなたの番です』を社長は、どうとらえていますか?」―

 同局のドラマとしては、94年の「静かなるドン」以来25年ぶりに2クール、4月から半年間放送された原田知世(51)と田中圭(35)主演のドラマ「あなたの番です」(日曜・後10時半)。この大型作品が久しぶりに“社会現象”を巻き起こすヒットとなった。

 最終回で今年の全民放ドラマ最高の平均視聴率19・4%を記録。公式ツイッターのフォロワー数も16年10月期のTBS系「逃げるは恥だが役に立つ」を抜き、日本のドラマ史上最多の34万5000人を突破した(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)。

 見ていなかった方のために今さらながら説明すると、主人公は都内の中級マンションに引っ越してきた原田演じる菜奈と田中演じる翔太という年の離れた新婚夫婦。新生活に胸を膨らませていた2人だったが、初の住民会出席後に謎の管理人殺害事件が発生。マンション住人による緊迫の交換殺人ゲームに巻き込まれていくというストーリーだった。

 何よりすごかったのが、ネット上の盛り上がり。最終回を前に3人ほどに絞られた「真犯人」を巡り、数々の「考察サイト」が乱立。「黒幕は〇〇で間違いない」「●●は第〇話のあの場面で犯人ではあり得ないことが証明されている」などなど視聴者による推理合戦が丁々発止、展開された。

 放送終了1か月経った今でも最終回で明らかになった意外な真犯人やラストシーンで提示された“割り切れない”なんとも消化不良の謎を巡り、賛否両論が渦巻いているのも、いかに多くの人が話題にし、注目してきたかの証拠だろう。

 そんな大ヒットドラマへの思いを聞かれた小杉社長の答えは「事前に私のところには全部の台本が来るんですけど、『あなたの番です』だけは一切、読みませんでした。事前に犯人が分かると、楽しみがなくなるので。視聴者の気持ちになりたかったんです。台本を読まなかったのは『家政婦のミタ』以来でした」というものだった。

 11年10月期に放送され、最終回で40・0%の驚異的視聴率をたたき出した伝説のドラマの名前まで挙げて、毎回のリアルタイム視聴がどれだけ楽しみだったかを明かした小杉社長。実は同社長自身が、日テレを6年連続の視聴率三冠王を狙う“勝ち組み”に押し上げた伝説のテレビマンだった。

 同局は94年から10年間に渡って視聴率三冠王を続けたことがあったが、その黄金期を支えた「クイズ世界はSHOW byショーバイ!!」、「マジカル頭脳パワー!!」を生み出したのが、小杉氏。ドラマ部門でも大活躍。最終回で37・2%を記録した94年「家なき子」でも、チーフプロデューサーを務めている。

 そんな百戦錬磨のトップを事前の脚本チェック無しのリアルタイム視聴に駆り立てたのが、「あな番」。いかに、ケタ外れの吸引力、中毒性を持った作品だったかが分かる。

 さらにこの10月クール、小杉社長率いる日テレは「あな番」の成功に味をしめたというわけではないだろうが、さらに中毒性で勝負するドラマを送り出す。

 社長会見の席で10月期のドラマについて聞かれた編成担当の福田博之取締役は「(土曜夜の)『俺の話は長い』は“サザエさん方式”と言うんですが、30分のお話を2本立てでやろうというチャレンジをします」と明かした。

 そう、9月5日に行われた改編会見でも生田斗真(34)主演「俺の話は長い」について、櫨山裕子プロデューサーが「一つの話を30分と2階建てにしようということ。見やすさ、テンポを上げてサクサク見せる30分にしようと思います」と全く新しい挑戦であることを明かしていた。

 改編会見では「あな番」の後番組となる賀来賢人(30)主演「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」についても、西憲彦チーフプロデューサーが「会社の上層部からも(日曜午後10時半の)この枠はとにかく、とんがったもの、若者に刺さるものをやってくれと言われている。今回も攻めたものになっています」と自信をのぞかせていた。

 さらに火曜午後10時の高畑充希(27)主演「同期のサクラ」は高畑主演、脚本は遊川和彦氏と17年のヒット作「過保護のカホコ」の制作チームが再結集しての作品となる。

 西氏は「最終回が現在、今となる形で過去を1話につき1年ずつ振り返っていきます。同期の絆という立ち止まって考えることは少ないが、大切なつながりにスポットを当てていきたいと思います。仲間の物語を描いていきたい」と話した。

 どうだろう。日テレの年間三冠王を阻止すべく、2位につけるテレビ朝日は今クール、米倉涼子(43)主演「ドクターX~外科医・大門未知子~」や水谷豊(67)と反町隆史(45)のコンビで5年目、放送開始20年目となる看板ドラマ「相棒season18」などをずらりとラインアップ。他局も人気漫画を原作にした作品などで勝負をかけてくる。

 注目点は、そんなライバル各局のドラマが安定感のある大ヒット作品の続編や人気漫画を原作にしたもの中心となる中、日テレの3作品が、すべてオリジナル脚本であること。そこにあるのは、過去の日テレ幹部の言葉を借りれば、「とにかく、エッジの効いた中毒性のあるドラマで勝負したい」という思いだ。

 熾烈さを増す一方の民放各局の視聴率争い。“第二のあな番”として、過酷なレースに打ち勝ち、さらにネット上でも大いにバズるのは一体、どのドラマなのか。「あな番」20話をほぼリアルタイム視聴。すっかり、その中毒性にやられた私も今、この秋のドラマの数々が楽しみでしようがない。(記者コラム・中村 健吾)

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9月30日の定例会見で生中継を手がけるラグビーW杯日本代表のユニホームを着てポーズを取る日本テレビの小杉善信社長(中、左は福田博之取締役、右は廣瀬健一取締役)
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