“泣き虫先生”山下真司がラグビーW杯日本代表の活躍に号泣した理由

山下真司
山下真司

 ラグビーW杯日本大会で日本代表が優勝候補アイルランドを下し、日本列島が歓喜にわいた頃、ある男がうれし泣きをしていた。80年代にラグビーブームを巻き起こしたTBS系連続ドラマ「スクール☆ウォーズ 泣き虫先生の7年戦争」(84~85年)で主人公・滝沢賢治役を熱演した俳優の山下真司(67)だ。“泣き虫先生”は試合終了20分が経過しても涙を流し続けた。

 今年8月、「スクール☆ウォーズ」のDVD BOX発売が決定し、山下をインタビューした。机を挟んで対面に座ったが、しわ一つないスーツにさわやかな匂い…紳士的なイメージを抱いたが、ラグビーと教育論になると表情は一転。目力が増し、身振り手振りが大きくなった。

 ラグビーW杯に対しても「日本人が思っている以上にすごいこと」とアジア初開催をかみ締めていた。話が止まらず、つい予定時間を超えるほど。写真撮影の際、楕円球を持つと眉毛をぐっと寄せ、「下から撮ったらどうだろう?」。放送終了後34年が経過してもなお、いかに滝沢の雰囲気が出るか自らも考え、カメラマンと話し合うほどだった。

 当時のことは鮮明に覚えているという。撮影中はモデルである全日本の名フランカーとして活躍した山口良治氏(76)に近づこうと努力した。山口氏はアイルランド戦で華麗なパス裁きで流れを作ったSH田中史朗の高校時代の恩師でもある。熱血教師役というイメージを崩さないために自然と夜の街には遊びに行かなかった。街中で「イソップ~!」と病に倒れた教え子の愛称で声をかけられることも多かったというが、気さくに答えたという。撮影は朝早くから夜遅くまで続き、体力を消耗した。自宅にも帰れない日もあったが、「撮影場所の近くのビジネスホテルやラブホテルに泊まったことがあったよ。逆に色々気になっちゃって眠れなくなったよ」。豪快に笑い飛ばすほど、ドラマ第一に考えていた。

 今も山下は「山口先生の人生の疑似体験ができた」と胸を張るが、唯一後悔していることがある。撮影後、山口氏と再会した時、「先生はドラマの中だと誰ひとり見捨てることなく、強い愛情で育てましたが、本当のところ見捨てる人はいないんですか?」と疑問をぶつけた。山口氏は「そう思ったことは一度もないし、これからもありえない」と真剣なまなざしで返した。「聞いた俺が浅はかだったと反省し、その場で号泣しました」。山下は撮影終了とともに気のゆるみがあったと後悔し、ふんどしを締めなおして俳優業をまい進したという。

 山下にとって「スクール☆ウォーズ」と山口氏の存在はとても大きい。だからこそ、放送後のラグビー部入部者増加に大喜びし、自身もラグビー関係のイベントに出演。18年、9連敗を喫したサンウルブズの応援団長に就任し、叱咤激励をするなど、“芸能界のラグビーの顔”として見守り続けた。

 今回の快挙の後、山下は本紙に観戦記を寄せた。その目にはドラマの最終回の花園優勝ばりの涙があった。何度も何度も「こんなに嬉しいことはない」とかみ締めていた。放送から30年以上が経過してもなお、“泣き虫先生”が頭に、心に、身体に染みついているからこその男泣きだった。(記者コラム)

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