履正社・井上 女手ひとつで育ててくれた母へささげた7アーチ 次はプロの世界で恩返しを

8月の甲子園決勝で逆転3ランを放った履正社・井上広大
8月の甲子園決勝で逆転3ランを放った履正社・井上広大

 8月の全国高校野球選手権で履正社(大阪)が奥川恭伸(やすのぶ)投手(3年)率いる星稜(石川)を下し、春夏通じて初の甲子園優勝を果たした。大会打率3割8分5厘、3本塁打を放ち14打点と優勝の立役者になったのが主砲の井上広大(こうた)右翼手(3年)。彼が頑張り続けたのは女手ひとつで育ててくれた母・貴美(50)さんの存在が大きかった。

 今春のセンバツでは初戦で星稜と当たり、奥川に9回3安打17三振に抑えられ、井上自身も4打数無安打2三振と封じ込められた。その後はなかなか調子が上がらず、4番も外され、苦しんだスラッガー。家でも落ち込んだり、不機嫌な態度になることが増えると、母から「野球やめたらええやん。袋に道具まとめて捨てなさい」と厳しい言葉をかけられたという。「その時は嫌になったけど、ちゃんと頑張らないかんと思うようになりました」と母の言葉に奮起し、練習に励んだ。6月中旬には再び4番に座り、夏の大阪大会ではPL学園の清原和博、福留孝介(現阪神)に並ぶ3試合連発アーチを放つ絶好調ぶり。勢いそのままに甲子園に乗りこんだ。

 甲子園の決勝では奥川から逆転3ランをたたき込むなど強烈なインパクトを残し、高校野球生活を有終の美で飾った。「普段は弟の応援もあって、なかなかお母さんは見にこられないんですけど、この夏は大阪大会から放ったホームラン7本、すべて見てもらうことができました」と最高の舞台での親孝行を喜ぶ。「弁当も洗濯もほとんどお母さん任せだし、何でも自分のやりたいようにさせてくれて感謝しかない。ゆくゆくはプロに行って、生活を支えたい」と母への思いを明かした。

 2日に行われた同校での優勝報告会後、プロ志望を初めて明言した。「何かあったらすぐお母さんを頼っていたので『1人でやっていけんの?』と心配されました。なんとしても活躍して恩返しします」と力を込めた。プロで飛躍する姿を母に見せる日はそう遠くないはずだ。(記者コラム・坂口 愛澄)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請