ヤンキース、メジャー最多28度目のワールドチャンピオンのカギは?

4番に定着したヤンキースのウルシェラ(ロイター)
4番に定着したヤンキースのウルシェラ(ロイター)

 田中将大投手(30)が所属するヤンキースが7年ぶりにア・リーグ東地区優勝を決めた。キャンプ終盤から主力選手の故障者が続いた中、昇格させた選手が適材適所で活躍。独走して2年連続100勝をマークしたチームを分析し、最後の世界一となった2009年と比較しながら、メジャー最多の28度目のワールドチャンピオンになれるかを占ってみる。

 〈1〉フロントの眼力

 昨季19勝のセベリーノ、66試合で20ホールドを挙げたベタンセスがともに右肩を痛め、同27本塁打のグリゴリアス内野手は右肘のトミー・ジョン手術を受け、そろって開幕から戦列離脱。それもあって開幕15試合に6勝9敗と出遅れていた。その後も昨季27本塁打で新人王投票2位となったアンドゥハー内野手が右肩手術で5月に、同38本塁打のスタントン外野手も18日(日本時間19日)に復帰したが、右膝を痛めて6月に60日間の負傷者リスト入りとなった。

 ところが、先発に回ったヘルマンが打線の援護にも恵まれて勝ち頭に、控えのつもりで獲得していたラメーヒューが内野のユーティリティーとして首位打者を争う活躍で1番に定着。大砲コンビのジャッジにスタントンまで欠いていた序盤、主軸に座ったボイトが連日のように長打を放った。そして、チームにとって最もサプライズだったのは3Aスタートの27歳、コロンビア出身のウルシェラの存在だろう。4月6日に昇格すると、鉄壁の三塁守備に加え、1番を除く8つの打順で出場し、満塁の8打数5安打を含め、得点圏打率は3割5分6厘で、度々ヒーローとなった。また、22歳のトーレスがチーム最多の38本塁打で2年目のジンクスを吹き飛ばし、シーズン終盤は4番に定着したのも大きい。

 レイズとの激しいつばぜり合いを6月15日にかわして地区首位に立つと、その後は独走となったヤンキース。6月に入って、スタントンの穴は、マリナーズで21本塁打していたエンカーナシオンを獲得して埋めた。フロントの適材適所の補強とともに、メジャー昇格後にすぐに結果を残すようなマイナーの人材を引き上げる的確な眼力があったからこそのペナントレースの独走優勝でもあった。

 ブーン監督の采配も絶妙。ブルペンデーは昨季は終盤の3試合しかなかったが、今季はこれまで救援専門だった右腕グリーンを14試合に先発として起用。その試合にチームは11勝3敗という結果を残しているのも指揮官の手腕だ。

 〈2〉後半戦不調マー起用は?

 先発陣に不安も 今後の注目点はポストシーズン(PS)の先発ローテーション。9連勝中と後半戦絶好調の左腕パクストンは当確だが、田中、ハップ、サバシアは後半戦の調子は今ひとつ。チーム最多18勝のヘルマンは、家庭内暴力規定違反で出場停止処分をくらい、PSの出場は不透明となっている。右肩の負傷から戻って今季初登板(17日エンゼルス戦)で4回を無失点に抑えたセベリーノを含めて、誰を起用するかブーン監督にとって頭の痛いところ。今季限りで引退するサバシアは救援起用が濃厚だ。日本のファンにとっては、過去5試合のPSに3勝2敗、防御率1・50と好結果を残している田中の実績をどう評価するのかも興味深い。

 一方、打線は、復帰間近とされるスタントンの処遇、また股関節を痛めている捕手のサンチェスが間に合うかが注目される。彼らが戦列に戻った場合でも気がかりは、左打ちがグリゴリアスとガードナーの2人だけという右打者偏重の打線。

 松井秀喜がDHでワールドシリーズMVPに輝いた2009年は、オーダーに大物選手がズラリ並んでいた。35歳以上が4人(今回は2人)、チーム全体の平均年齢は30・8歳(今回28・8歳)でスイッチ4人、左打ち3人、右打ち2人と、左右関係なく打ち込めるバランスのいい百戦錬磨のベテランがそろい、その上機動力(盗塁は同年111、今季は53)も兼ね備えていた。

 今年のヤンキースは、打つことで勝ち進んできた若さと層の厚い“全員野球”が売りだった。それが遺憾なく発揮できれば、史上最多の28度目の世界一に手が届くはずだ。(ベースボールアナリスト・蛭間豊章)

                                              

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