キラー・カーンの悲願、怪奇派ワイアットが世界王者として来日する日は来るか…金曜8時のプロレスコラム

“ザ・フィーンド”ブレイ・ワイアット(上)とケインの怪奇派対決(C)2019 WWE,Inc.All Rights Reserved.
“ザ・フィーンド”ブレイ・ワイアット(上)とケインの怪奇派対決(C)2019 WWE,Inc.All Rights Reserved.

 現代の怪奇派レスラー、“ザ・フィーンド”ブレイ・ワイアット(32)が、10月6日(日本時間7日)に米カリフォルニア州サクラメントのゴールデン1センターで開催されるWWEのPPV「ヘル・イン・ア・セル」で、王者、セス・ロリンズ(33)の持つWWEユニバーサル王座に挑戦することが決定した。

 WWEジャパンによると、挑戦決定のいきさつはこうだ。9月15日(日本時間16日)に開催されたWWEのPPV「クラッシュ・オブ・チャンピオン」のメイン戦で、ブラウン・ストローマン(36)を相手に王座防衛を果たしたロリンズを、ワイアットが奇襲した。そして翌16日(同17日)に、テネシー州ノックスビルのトンプソン‐ボーリング・アリーナでの「ロウ」のオープニングで、ロリンズが「ワイアットとヘル・イン・ア・セルの中で対戦してやる」と表明。

 この日のメイン戦でロリンズがロバート・ルード(42)と対戦し、セコンドのジグラーが乱入して試合が反則裁定となり、乱闘に発展。するとAJスタイルズ、ルーク・ギャローズ、カール・アンダーソンのThe OCも乱入し、ロリンズは1対5の状況となり、スタイルズクラッシュなどで痛めつけられる。そこへ“赤い処刑マシーン”ケインがThe OCをチョークスラムで蹴散らした。

 そこで場内が暗転し、“ザ・フィーンド”ワイアットが出現。マンディブルクローでケインを沈めると、倒れ込んだロリンズをにらみつけて威圧。「ヘル・イン・ア・セル」での遺恨決着戦が決まった。PPV「ヘル・イン・ア・セル」は、日本時間10月7日にWWEネットワーク(日本語実況版有り)でライブ配信される。

 ワイアットの独特の世界観は、怪奇派の域を超えている。実は、このブレイ・ワイアットVSセス・ロリンズの一騎打ちは、2017年7月1日に東京・両国国技館で開催された「WWE Live Tokyo」(最終日)に実現している。私はこの日本公演(2日興行)で初めてワイアットを生で見た。

 会場には取材者として行ったわけだが、WWEの試合はバックステージで取材することがかなわず、観衆に交じって観戦することしかできない。だからこそ、観衆とともに恐怖の世界を素の状態で味わうことができた。場内が暗転し、映画「ケープ・フィアー」をモチーフにしたサイコなモノクロ映像が流れる。ユニバースと呼ばれるWWEの観衆は、携帯電話のライトを点灯させ、場内がホタルの光のようなライトが揺れる中、ワイアットが入場してくるのだ。試合はロリンズに敗れたが、21世紀に現存した怪奇派レスラーの存在感に圧倒された。

 今年のWWE日本公演には姿を見せなかったが、さらに新たな世界観を展開している。ワイアットは、今年の「ロウ」から子ども向け教育番組のようなコーナー「Firefly Fun House」をスタートさせている。直訳すると「ホタルのお化け屋敷」か。

 セーターを着て、教育番組のお兄さんのようないでたちで、笑顔のワイアットが画面に登場する。ウサギやコンドルのパペットと楽しく会話していると思ったら、急に猟奇的な“ザ・フィーンド”(The Fiend=悪魔)に変身する。場内が暗転して、口裂けのオーバーマスクをつけたワイアットがリングに登場するのだ。子ども番組が急にホラーに、笑顔のお兄さんが口裂け男に。この二面性は怪奇派の域を超えた怖さがある。

 それにしてもネットの時代に、えたいの知れない怪奇派が存在するのもプロレスならではだ。昭和の日本プロレスの時代には、ザ・コンピクト(囚人)やザ・マミー(ミイラ男)など、海外からのニュースが脚色されて伝わり、恐怖を増幅させてきた怪奇派の歴史があった(来日してみるとがっかりさせられることになるのだが…)。

 だが、ワイアットは、元NWA世界タッグ王者のマイク・ロトンド(61)を父に持つ本格派でもある。そして、WWEの2大タイトルの一つ、ユニバーサル王者に挑むのだ。怪奇派のトップコンテンダーと言えば、日本で言えば、キラー・カーンだろう。現地ではモンゴル人ということだったが、新日本プロレス出身の小沢正志氏(72)は、1980年代に弁髪姿の蒙古の殺し屋として、アンドレ・ザ・ジャイアント(故人)の足を折って全米を恐怖に陥れ、ボブ・バックランド(70)やハルク・ホーガン(66)のWWF(現WWE)世界ヘビー級王座に何度も挑んだが、世界奪取は実現していない。

 現在は東京・新宿で「居酒屋カンちゃん」(新宿区百人町1‐6‐14)を営む小沢氏は「ホーガンも店に来てくれたし、WWEの後輩たちも、よく名前を知らないけど、日本公演の時に来てくれます。陰ながら応援してますよ」と話す。そもそもワイアットの祖父、ブラックジャック・マリガン(故人)は、日本でもタッグを組んだことがある盟友だ。「思い出はいっぱいありますよ」と小沢氏は、いろんな裏話をしてくれたが、ここでは書けないことばかりなので、23日に「居酒屋カンちゃん」で開催されるトークショーで聞くことができる。

 いずれにしても、異色の怪奇派レスラーであるワイアットが世界の頂点に立ち、怪奇派王者として来日する”奇跡“を信じてみたい。(酒井 隆之)

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