平尾さんと一緒に京都でラグビーW杯決勝を見たい 後輩たちの熱い思い

PV会場にある下鴨神社内の雑太社
PV会場にある下鴨神社内の雑太社

 間もなく日本で開幕を迎えるラグビーW杯。決勝は11月2日に開催される。この世界一決定戦を日本が誇る世界遺産で観戦しようと、行動を起こしている人たちがいる。「京都パブリックビューイング実行委員会」は京都市内にある下鴨神社内でPV開催を実現するため、その経費をクラウドファンディングで募っている。実行委員長は元日本代表の杉本慎治さん。今回のイベントに込められた思いを聞くと、こう話した。

 「平尾さんと一緒にワールドカップを見よう」

 平尾さんとは、言うまでもなく「ミスターラグビー」と呼ばれた平尾誠二さん。テレビドラマ「スクール☆ウォーズ」の題材になった伏見工高の全国初制覇、同志社大では史上初の大学選手権3連覇、そして神戸製鋼では日本選手権7連覇へと導いた。W杯も選手として87年の第1回から3大会連続出場。代表主将、監督も務めたレジェンドだった。

 今大会の組織委員会でも理事として招致に尽力した平尾さん。しかし、開幕を見届けることなく、3年前の2016年10月に53歳の若さで亡くなった。そんな無念の思いを少しでも晴らそうとするべく、杉本さんら後輩たちが立ち上がった。杉本さんは平尾さんの2学年下。伏見工から神戸製鋼まで、偉大な先輩と同じ道を歩んだV7戦士のひとりだ。

 「京都には高校、大学とラグビーが強いところがあるのに、今回のワールドカップにかかわるものは何もない。やるなら最も京都らしいところでやろう。決勝を世界遺産で。これぐらいしないと、平尾さんは満足してくれないね。今回のイベント計画は、そこからのスタートでした」

 パブリックビューイング(PV)は下鴨神社境内の雑太(さわた)社前で行われる計画だ。実は、ここは「ラグビー神社」として有名で、1910年に現在の京大生によって関西で初めてラグビーボールが蹴られた地だという。「第一蹴の地」の石碑も後年に建立された。そして杉本さんは、平尾さんが育った京都で開催することにも大きな意義を感じている。

 「例えば、神戸製鋼では平尾さんが主将の代になってから、ほぼ毎日だった練習を火、木、金曜の週3回に変えたんです。そして試合の前の土曜日は休み。限られた練習では走力やフィジカル、技術など個々が足りないものを意識的に練習した。当時の日本からすれば考えられないことでしたが、それで結果を出した。(ラグビー漬けだけではない)社会人として必要なものを考えたのでしょう。何をやっても格好良かったし、浪花節的な温かさもあった。ずるいですよね(笑い)。その発想や行動力を僕らは知っているので、招致にもかかわってきたし、(亡くなったことが)悔しくて悲しかった。もっとやりたいことがいっぱいあったと思うんです」

 ラグビー界が華やいだ1980~90年代の名プレーヤーだっただけでなく、これまでの常識を覆しながらラグビー界をけん引してきた平尾さんに、「地元」でW杯の成功を見届けてもらいたいという思いがある。世界最高峰の試合を観戦するPVが実現すれば、レジェンドを慕うラガーマンたちだけでなく、多くのラグビーファンの思いが詰まったイベントになるだろう。

 実行委員会では京都に今W杯のレガシーを残すこと、雑太社を将来に継承していくことを柱として、開催経費790万円を目標にクラウドファンディングを行っている。高さ6メートルのLEDディスプレイを設置し、約500席を用意。うち300席が1万円の支援を行った人の招待席となっている。開催当日は、平尾さんの功績をたたえるコーナーなどの設置も計画しているという。また、3000円または5000円の支援でも記念品などのリターンが用意されている。詳細はhttps://mitate.kyoto./kpv/まで。(記者コラム・広瀬 雄一郎)

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