日テレは「リスク覚悟」の挑戦に勝った…8日最終回「あなたの番です」ツイッターフォロワー数35万人超の秘密

大ヒットとなった「あなたの番です」主演の原田知世と田中圭
大ヒットとなった「あなたの番です」主演の原田知世と田中圭
「リスク覚悟の挑戦」で3クール連続のヒットドラマを生んだ日本テレビ
「リスク覚悟の挑戦」で3クール連続のヒットドラマを生んだ日本テレビ

 プロのドラマ制作者たちの底力を見せつけられた半年間だった。

 8日に最終回を迎える原田知世(51)と田中圭(35)主演のドラマ「あなたの番です」(あな番、日曜・後10時半)が番組終盤の8月25日放送回で同作最高の13・0%を記録。番組公式ツイッターのフォロワー数も2016年のTBS系「逃げるは恥だが役に立つ」を抜いて、ドラマ史上最多となる35万人(7日現在)を記録。ドラマ史に残る大きなうねりとなっている(数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 日テレにとって94年の「静かなるドン」以来25年ぶりに2クール、半年間連続で放送されてきた大型作品。見ていない方のために説明すると、主人公は都内の中級マンションに引っ越してきた原田演じる菜奈と田中演じる翔太という年の離れた新婚夫婦。新生活に胸を膨らませていた2人だったが、初の住民会出席後に謎の管理人殺害事件が発生。マンション住人による緊迫の交換殺人ゲームに巻き込まれていくというストーリーだが、視聴率というテレビ局にとって大切な指標を超えて、今や、ネット上の盛り上がりがすごい。

 最終回を前に3~5人ほどに絞られた「真犯人」を巡り、数々の「考察サイト」が乱立。「黒幕は〇〇で間違いない」「●●は第〇話のあの場面で犯人ではあり得ないことが証明されている」などなど視聴者による推理合戦が丁々発止、展開されているのだ。

 私自身、ここまでの19回をほぼリアルタイムで視聴。第1部の最終話となった第10話のラストでW主演の1人でストーリーを最後まで牽引すると思われた菜奈が毒殺されてしまった時には正直、驚きでのけぞった。

 ただ半年間、存分に楽しませてもらったにも関わらず、私には自身の不明を恥じねばならない一幕があった。

 それは今年3月14日の4月番組改編説明会でのこと。席上、4月クール最大の目玉として紹介されたのが、「あな番」。企画・原案にAKB48や坂道グループでおなじみの大物プロデューサー・秋元康氏(61)を据えた大型企画だったが、私は会見出席前から大きな疑問を抱いていた。

 日テレは日曜のこの時間、2クール連続で学園もので勝負してきた。昨年10月クールの「今日から俺は!!」、そして、今年1月クール、最終回でこの枠史上最高の平均視聴率15・4%を記録した「3年A組―今から皆さんは、人質です―」の連続ヒットは、各局がノドから手が出るほど欲しい若者層の支持を得たからこそだった。

 さらに常に人気の水谷豊(67)主演のテレビ朝日系「相棒」など1話完結形式だからこそ「飽きやすい」視聴者も半年間の視聴続行が可能なのではないか。そんなことも思ったから、「2作続けての学園もので手に入れた若い視聴者を手放すのか?」「マンションでの交換殺人という一つのストーリーで半年間、視聴者は見続けるのか。途中で脱落する危惧はないのか?」と続けざまに聞いた。

 しかし、岡部智洋編成部長(当時)は冷静そのものの表情で私を見つめると、こう答えた。

 「確かに話題性、中毒性のあるエッジの効いたドラマ作りを目指した枠で、ここ2クールはティーン層に刺さって好評を呼んできました。ただ、学園ものということより、ドラマの内容こそがティーンの心に刺さったと思う。さらに今回はティーンの気持ちをつかんでいらっしゃる秋元さんの企画ということで信頼しています」。

 さらに「確かに編成上のリスクはあります。チャレンジではあります」と率直に答えた上で「カメラ、衣装までスタッフ一丸となって、きちんと作品を作れば、1話完結形式でなくても、しっかりやっていけると『3年A組』の成功が勇気をくれました。今回も制作陣に全幅の信頼を置いております」と続けていた。

 そう、現在の盛り上がりを見る限り、結果は半年前の岡部氏の言葉の通りになった。記者として、なんとなく悔しかったから、5日、場所も半年前と同じ東京・汐留の日本テレビ本社で行われた10月改編説明会で岡部氏の後任・田中宏史編成部長に質問をぶつけた。

 「今回の尻上がりの好評ぶりは計算通りだったのか? 実は作り手側も驚いていたりするのか?」―。

 こちらをじっと見つめた田中氏は「チャレンジはチャレンジでした。今の支持していただいている形を予想できていたかと言うと、それはできていなかったです」と率直に答えた。

 その上で「番組を作っていく現場のプロデューサー始めスタッフのみんなが非常に熱を込めて、いろいろな仕掛けを考えたり、話題性を日々ひねり出した。配信の支度やweb、SNSでの支度が少しずつ少しずつ、ひょっとしたら、テレビを付けていただけなかった方たちにも届いて、それが横に縦に話題になり、今の状況を迎えたのかなという気がしています」と分析した。

 確かに評判を呼んだ動画配信サービス「Hulu」でのアナザーストーリー「扉の向こう」配信など、作り手側の熱意は感じたが、それ以上に「考察」という言葉を流行語にしてしまうほどの視聴者サイドの自然発生的な“熱さ”も感じたから、重ねて聞いた。

 「考察サイトがこれほど盛り上がるほどの推理ブームは想像していたか?」―。

 まず「うーん、どうでしょう」と、うなった田中氏は「いろいろな手数をひねり出していたことが、どれだけの生活者、視聴者の方に届くだろうかまでは読み切れてはいなかったと思います。ただ、そうした小さなことが徐々に大きくなって積み上がったのかなとは思います」と正直に答えた。

 もう一つのヒントが、10月クールの同枠の新ドラマ、賀来賢人(30)主演の「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」の西憲彦チーフプロデューサーの言葉にあった。

 この日の会見で「会社の上層部からも(日曜午後10時半の)この枠はとにかく、とんがったもの、若者に刺さるものをやってくれと言われている。今回も攻めたものになっています」と、ぶっちゃけた西氏。そう、「とんがった」「中毒性のある」作品で若者の心を突き刺す―。そんな作り手側の真剣勝負こそが「あな番」をバズらせた(ネット上で口コミなどを通じて一躍話題となる)と、私は見る。

 この日、田中氏は言った。「僕自身もどういう最後なのか、あえて脚本を見ずに本当に楽しみにしています」―。編成の要にいる幹部までもストーリー展開を楽しみにしてしまう中毒性こそが「あな番」最大の魅力。真犯人は〇〇か、それとも●●なのか。私も心の底から楽しみにしながら、日曜の夜を待つことにする。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆「あなたの番です」平均視聴率の推移

 ▽第1話 8・3%

 ▽第2話 6・5%

 ▽第3話 6・4%

 ▽第4話 7・1%

 ▽第5話 6・5%

 ▽第6話 6・3%

 ▽第7話 6・4%

 ▽第8話 6・7%

 ▽第9話 8・0%

 ▽第10話 7・9%

 ▽特別編 8・1%

 ▽第11話 9・2%

 ▽第12話 9・2%

 ▽第13話 10・9%

 ▽第14話 9・5%

 ▽第15話 10・2%

 ▽第16話 10・2%

 ▽第17話 11・0%

 ▽第18話 13・0%

 ▽第19話 12・3%

 ▽第20話=最終回 ?

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