日本野球機構(NPB)は3日、ドーピング検査で陽性反応を示していた広島のサビエル・バティスタ外野手(27)に対し、来年3月2日まで6か月間の出場停止処分を科すと発表した。この間は球団施設の使用が制限され、春季キャンプや練習試合にも参加できない。ドーピング検査が本格的に導入された2007年以降、違反による処分は7人目。
バティスタは6月7日のソフトバンク戦(マツダ)後に尿検査を受け、禁止物質に指定されているホルモン調節薬「クロミフェン」とその代謝物「ヒドロキシクロミフェン」が検出された。7月24日にNPBから通知を受けた球団は摂取していた2種類の海外製サプリメントの検査を実施。1種類は汚染が確認されなかったが、もう1種類については消費済みで検査できなかったという。処分は弁明の機会が設けられた上で決定され、この日、通告された。
取材対応した鈴木球団本部長は「マイナーで5年苦労して、アカデミーでも努力してきた。人柄もいいし、トラブルもない」と練習態度や人間性も含めた実績を評価。今後の契約については未定としたが、22年まで契約が残っており、来季も残留する可能性が高そうだ。
バティスタは処分について異議申し立てはしないが、意図的な摂取については否定。マイナー時代やカープ入団当時の検査でも陽性反応が出たことはなく、球団を通じ「どうか皆さま、信じてください。私は禁止薬物が成績を上げる助けにはならないと考えているため、今までステロイドや他の薬品を使用したことはありません。もし契約を継続してもらえるなら、勝利に貢献し、優勝できるよう最善を尽くしたいです」と訴えた。
◆過去のNPBでのドーピング違反と処分
▼ガトームソン(07年ソフトバンク)禁止薬物が含まれる発毛剤を服用し、NPBで初めて違反が発覚。20日間の出場停止処分と球団に制裁金750万円。
▼ゴンザレス(08年巨人)興奮剤が検出され、1年間の出場停止処分。球団は契約解除。
▼リオス(08年ヤクルト)筋肉増強剤が検出され、1年間の出場停止処分。球団は契約解除。
▼井端弘和(11年中日)ステロイド系抗アレルギー剤を検出。眼病治療に服用していたもので、けん責処分と申請に不手際があった球団に制裁金300万円。
▼アマダー(18年楽天)利尿剤、隠蔽薬が検出され、6か月の出場停止処分。昨季限りで退団。
▼メネセス(19年オリックス)筋肉増強作用がある禁止薬物が検出され、1年間の出場停止処分。球団は契約解除。
◆クロミフェン ホルモン調節薬で女性の不妊症の排卵誘発として効果がある。ステロイドを使用した際に崩れたホルモンバランスを正常にする効果もあり、WADA(世界アンチ・ドーピング機関)禁止表国際基準の禁止物質に指定されている。日本では昨秋、陸上ハンマー投げの男子選手から検出され、今年2月に2年間の資格停止処分を科されている。
◆サビエル・バティスタ(Xavier Batista)1992年1月18日、ドミニカ共和国生まれ。27歳。サンタルシア中高から米カブス傘下マイナーを経て、2015年カープアカデミー入り。16年3月に育成選手として広島に入団。17年6月に6年契約を結んで支配下選手登録された。今季103試合で打率2割6分9厘、26本塁打、64打点。通算では263試合、打率2割5分7厘、62本塁打、145打点。189センチ、113キロ。右投右打。今季年俸3970万円。