フジ、10月改編のキーワードは「とことん挑戦!」…カギを握るのは「ホワイト」な吉本芸人

フジテレビの2つの10月新番組でMCを務める「麒麟」の川島明
フジテレビの2つの10月新番組でMCを務める「麒麟」の川島明
初のゴールデン帯MCに抜擢されたフジテレビ入社2年目の杉原千尋アナウンサー
初のゴールデン帯MCに抜擢されたフジテレビ入社2年目の杉原千尋アナウンサー

 たった1年半でテレビ局の雰囲気というものはこんなに変わるものなのか。そんなことを肌身で感じた会見だった。

 2日、東京・台場のフジテレビに約70人の記者を集めて行われた10月番組改編発表会見。今回の改編率は全日(午前6時~午前0時)6・2%、ゴールデン(午後7時~10時)22・0%、プライム(午後7時~11時)26・5%。令和初の改編のテーマは「とことん挑戦!」と発表された。

 会見冒頭、斎藤翼編成部長は、まず「フジテレビでは番組編成の構造改革を大幅に進めてきました。その成果から2018年度の平均視聴率がGP(ゴールデン、プライム)帯ともに実に9年ぶりに数字が上昇しました。最近では数多くの番組が視聴率2ケタに乗せています」と自信をのぞかせた。

 目を輝かせて話す同部長の表情を約10メートル離れた記者席から見た私は「1年半前とは大違いだな」と素直に思った。

 そう、17か月前のフジはどん底にあえいでいた。「楽しくなければテレビじゃない」のキャッチフレーズのもと、82年から93年まで12年連続で視聴率「3冠王」に輝いた栄華もすっかり昔話。「振り向けばテレ東」などとやゆされる民放キー局中4位が定位置となった業績不振に、当時の宮内正喜社長は就任早々「非常事態宣言」を全社員に発した。

 組織再編などの社内改革に踏み切った上で「17年の10月改編、18の4月改編、10月改編と3つのセット改編で勝負していく」と宣言。異例の「3セット改編」を断行。中でも世間を驚かせたのが、昨年4月の全日28・2%、ゴールデン29・8%、プライム29・5%という「史上最大の改編」。長寿バラエティー「めちゃ×2イケてるッ!」、「とんねるずのみなさんのおかげでした」などもバッサリと終了させた。

 そして今、フジ復活の気配は濃厚なものに。放送中の上野樹里(33)主演の看板ドラマ枠「月9」の「監察医 朝顔」が第6話で番組最高視聴率14・4%を記録(数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)。これで「月9」ドラマは昨年7月クールの「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」から5作連続の平均視聴率2ケタ超えが確実と、すっかり往年の勢いを取り戻した。

 昨年も人気ドラマの映画化作品「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」が興収92億円を突破するなど、フジが生み出す個々のコンテンツは、すっかり元気になっている。

 編成の要の斎藤部長はじめ社員たちにも明らかに笑顔が増えた。この日の会見でも「ドラマの次はバラエティーの復活」と宣言した斎藤氏は金曜と日曜を大幅に改革、水曜に新企画を投入することを発表した。

 目指すのは「子どもから大人まで家族で楽しめるフジテレビ」。「GP帯という主戦場で確実に上昇の機運に乗せることができている」と自信を見せた同部長は「週平均の数字を上げていくために課題である週末の強化を図っていく」と気合のコメント。「視聴者に週末こそ番組を楽しんでもらう」ことを狙いとして、「金曜は大胆な改革に挑戦」「日曜は差別化に挑戦」「水曜は若き才能の挑戦」の3つの軸を掲げた。

 そして、この日の会見では改編スローガン「とことん挑戦!」のカギを握るお笑い芸人の名前もまた明らかにされた。

 金曜午後9時に用意されたバラエティー「ウワサのお客さま」では、各種タレント人気ランキング1位のお笑いコンビ「サンドウィッチマン」と初コンビ。水曜午後10時の「梅沢富美男のズバッと聞きます!」を終了させ、新たにスタートする青春バラエティー「BACK TO SCHOOL!」では、俳優の風間俊介(36)とコンビを組む芸人。それは、同局のGP帯でのMC初挑戦となるお笑いコンビ「麒麟」の川島明(40)だった。

 ご存じのように川島は、いまだくすぶる闇営業問題の渦中にある吉本興業所属。この日の会見でも川島や千鳥の2人などを10月スタートの新番組に起用した点について、「コンプライアンス面などの心配は?」という辛辣(しんらつ)な質問も出た。

 この問いかけに「川島さんには2本の番組とも(レギュラー化前の)パイロット版から出演いただいている。吉本興業さんにはコンプライアンスをしっかりしていただけるよう申し入れをした上での今回のキャスティングです。安心をしています」と即答した斎藤部長。そう、この「安心」という言葉こそ川島起用のキーワードだと、私は思う。

 その独特の低音ボイスで「ええ声芸人」として人気の川島は01年のM―1グランプリ第1回大会で決勝進出、その後も出場8回中5回決勝進出の漫才界の実力者。大喜利系の「IPPONグランプリ」でも16年に優勝、同局系情報番組「直撃LIVEグッデイ!」の日替わりパネリストの経験も持つなど、イメージは真面目で芸達者。まさに「安心」のブランドだ。

 特に青春を満喫できなかった芸能人が数日間だけ実際の学校に通学し、当時できなかった夢をかなえるというバラエティー「BACK TO SCHOOL!」は川島を筆頭に「若さ」があふれた番組となる。

 企画の社内コンペを勝ち抜き、入社6年目にして総合演出に起用された田中良樹ディレクターは、この日の会見で「経験が重要なテレビ界で若さはデメリットだなと焦っている中でこうしたチャンスをもらいました。入社6年目ですが、私はフジテレビが(業界)1位でなくなってから就職活動した世代で、『笑っていいとも!』が終わってから入社した世代。柔軟というか、凝り固まっていないというか、テレビの前でこの間まで見ていた視聴者に近い目線が自分の武器だと思う。こんな若手が挑戦する姿を見てほしい」と初々しい表情で話した。

 また、川島の隣で初のゴールデン帯MCを務めるのは、同局入社2年目の杉原千尋アナウンサー(23)。こちらも、この日の会見の司会を務めながら、「初めてのゴールデン帯MCでプレッシャーがありますが、精いっぱい務めさせていただきます」と緊張気味の笑顔を見せた。

 そう、斎藤部長が言った「子供から大人まで家族で楽しめるフジテレビを目指していく。10月改編は常識や既存のものにとらわれず、とことん挑戦していきます」と言う言葉を体現する存在こそが「ホワイト」な吉本芸人・川島であり、入社6年目の総合演出・田中ディレクターであり、初MCの杉原アナだ。一時の不振を完全に脱却したフジの未来が、ここにある。(記者コラム・中村 健吾)

フジテレビの2つの10月新番組でMCを務める「麒麟」の川島明
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