【有森裕子コラム】パラと五輪に「差」はいらない

「東京2020パラリンピックカウントダウンセレモニー」に出席した(左から)石原さとみ、「サンドウィッチマン」の伊達みきお、富澤たけし
「東京2020パラリンピックカウントダウンセレモニー」に出席した(左から)石原さとみ、「サンドウィッチマン」の伊達みきお、富澤たけし

 東京五輪に続き、パラリンピックも開催まで1年を切りました。先月22日にはチケットの発売が始まったほか、メダルのデザインが発表されるなど報道も増えています。多くの人がパラスポーツに興味を持つことはいいことですが、一方で気になることもあります。

 ある新聞社が都内の強化施設「ナショナルトレーニングセンター(NTC)」について報じていたのですが、そこに書かれていた「パラ選手に配慮」という言葉に、思わず首をかしげてしまいました。誰が誰に配慮をするというのでしょうか。五輪の選手もパラ選手もNTCでトレーニングを積み、好成績を目指すことに変わりはありません。

 また、チケットの価格に関しても疑問があります。五輪の開会式が30万円(A席、以下同)なのに対し、パラは15万円と半分。他の競技に関しても、パラリンピックは比較的価格は低めに設定されています。どの程度の金額が適正なのかというのはさておき、両大会の価格の違いは、なぜ出てくるのでしょうか。

 東京五輪・パラリンピックの開催が決定以降、パラスポーツに対する理解が進んできていることは間違いありません。共生社会を作っていく上で、後世のレガシー(遺産)となるはずなのですが、前に挙げたような例はその流れを止め、過去に引き戻しかねないとも思えるのです。誤解を恐れずに言えば、どこかで「差」をつけてしまっているのではないでしょうか。

 人には固定観念というものがあり、全ての考え方を一気に変えるということは難しいでしょう。ただ、「どこがおかしいのか」「何をすることができるか」を考え、地道に声を上げていく必要があります。社会とつながりを持ち、影響を与えていくという意味では、五輪もパラリンピックも同じだと考えています。

(女子マラソン五輪メダリスト)

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