ルーキー記者が見た甲子園…関東第一・平泉 けが乗り越え復活の4番 甲子園で母と祖母へ感謝の2発

8月10日の関東第一・日本文理戦、3回1死、中越えソロを放ち雄叫びを上げる平泉遼馬
8月10日の関東第一・日本文理戦、3回1死、中越えソロを放ち雄叫びを上げる平泉遼馬

 大きな放物線を描いた白球が、バックスクリーンど真ん中に吸い込まれた。関東第一の4番・平泉遼馬一塁手(3年)が、日本文理(新潟)との初戦で放った一発に心が震えた。

 宣言通り、母へささげる感謝の一発になった。小学4年生の時に、父・克則さんが心筋梗塞(こうそく)で、42歳の若さで亡くなり、母・貴子さん(54)に女手一つで育てられた。開会式後に平泉に母への思いを聞くと、「中学のシニアの時は、家に帰るとバッティングの調子ばかり聞かれて、時々衝突することもあった。でも、これまで育ててくれた母のためにも一発打ちたい」と力強い言葉が返ってきた。

 克則さんの写真を手に、スタンドで観戦する貴子さんにその思いを伝えると、「うれしい。今日の本塁打は報われた以上に幸せ」と目を潤ませていた。母の涙は、最後の夏にすべてを懸けてきた息子の苦悩と努力を、痛いほど知っていたからだろう。

 高校1年の春に右肩を痛め手術をした影響で、長期戦線離脱を余儀なくされた。リハビリを乗り越え、本格的に実戦復帰した昨秋から1年弱で36本の本塁打を放ち、チームを甲子園に導いた。バッティングのことを聞くと決まって「打つことが大好き。4番は自分しかいないと思っている」と声を弾ませ、「苦しい思いをしてきた分、ここでチームのためにやってやりたい」と熱いまなざしで語ってくれた。

 4強を懸けた履正社(大阪)との準々決勝でも、第1打席で高校通算38号を左翼ポール際へ放った。夢みてきた舞台での2発に平泉は、「ホームランボールの1球目は母に、2球目は祖母に渡したい」と笑顔をみせた。復活を遂げ、大舞台で花を咲かせた4番の姿に力をもらった。夏空の下、球児の熱い思いに心を動かされ、ペンを走らせた日々は、記者人生の原点であり財産になった。(記者コラム・奥津 友希乃)

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