最強!大野将平、オール一本勝ちで3度目の金

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男子73キロ級決勝、オルジョフ(下)から内股で一本を奪い、優勝を決めた大野将平(カメラ・相川 和寛)

◆柔道 世界選手権 第3日(27日、日本武道館)

 男子73キロ級で2016年リオ五輪金メダルの大野将平(27)=旭化成=が3大会ぶり3度目の金メダルに輝いた。リオ五輪の決勝で対戦したルスタム・オルジョフ(アゼルバイジャン)を内股で下し、初戦の2回戦から6試合連続オール一本勝ちで頂点に立った。五輪と世界選手権は計4度出場して全て優勝。同じ会場で行われる20年東京五輪での連覇へ弾みをつけた。

 1年後を思い起こさせる景色だった。大野はオール一本勝ちで3度目の世界王者に輝くと、静かに畳を下り、頭を下げた。「皆さまの期待を超えた柔道ができた。うれしく思う」。思い入れの強い日本武道館で、観客から送られた惜しみない拍手がその答えだった。

 天理大の穴井隆将監督に贈られた「集中、執念、我慢」の3つの言葉を胸に刻む。準決勝ではビデオ判定で技ありが2度も取り消されたが表情を変えず、ともえ投げからけさ固めを決めて合わせ技一本で制した。

 リオ五輪後に約1年半、休養した。「2つ目の集大成」と位置付ける東京五輪を見据え、金メダリストとしての時間の過ごし方を模索した。天理大大学院で大外刈りを研究した修士論文を完成。ボクシングや大相撲を観戦し、1対1で戦う姿に刺激を求めた。モンゴルに武者修行に出向き、モンゴル相撲にも挑戦。「経験を柔道に落とし込む」と引き出しを広げた。

 “最強”への探求心も増した。階級の枠にとらわれず、17年4月には無差別級の全日本選手権に挑戦。日常的に重量級の選手と稽古を行う。今年7月のスペイン国際合宿では世界王者や世界ランク上位者を狙い、4つ上の100キロ超級の選手にも乱取りを挑んだ。体重やパワーで圧倒的に上回る海外勢に「当たり前に組み合ってできるようになった」と成長を実感した。

 試合後、「優勝するだろうと思って臨んだので特に何の驚きもない」とサラリと言ってのけた。しかし、心の中では葛藤があった。「大野は勝つだろう」という周囲の声が耳に入り、五輪王者に向けられる期待や視線をヒシヒシと感じた。「甘い誘惑が自分の中でよぎった。これでいいと思ったら負けだと思っていた。やりすぎなぐらい準備をして、打ち勝てたことを誇りに思う」と胸を張った。

 大野は決して結果に一喜一憂しない。リオ五輪で金メダルをつかんだ直後の相手への敬意を込めた礼をする姿は、その行動の意味を考える材料として中学校の道徳の教科書にも掲載されたほどだ。心技体で揺るぎない強さを見せても「2連覇は周りが思ってる以上に難しいこと。今日勝ったからもう一度やり直さなければいけない。そういう強い思いが生まれた」。東京五輪に向け、最強王者は手綱を締め直した。(林 直史)

 ◆大野 将平(おおの・しょうへい)1992年2月3日、山口県生まれ。27歳。旭化成所属。東京・弦巻中、世田谷学園高では柔道私塾「講道学舎」で鍛え天理大に進学。2011年に世界ジュニア選手権制覇。73キロ級で13、15年の世界選手権優勝、16年リオ五輪金メダル。右組み。得意技は大外刈り、内股。170センチ。

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