阿炎、ファンファースト巡業…触れ合い求めて全国行脚

札幌巡業で赤ちゃんと触れ合う阿炎
札幌巡業で赤ちゃんと触れ合う阿炎
巡業の売店の臨時店員としてファンを楽しませることもある阿炎(中央)
巡業の売店の臨時店員としてファンを楽しませることもある阿炎(中央)
巡業の取組でファンを沸かせる阿炎(右)の美しい四股
巡業の取組でファンを沸かせる阿炎(右)の美しい四股
巡業でファンからのサインの要望に応じる阿炎(中央)
巡業でファンからのサインの要望に応じる阿炎(中央)

 大相撲の力士が、相撲道の普及や地域の活性化を目的に全国を回る地方巡業。この度、一年で約90地域を行脚する巡業の一日を、小結・阿炎(あび、25)=錣山=に紹介してもらった。7月の名古屋場所を新三役で勝ち越した阿炎は、ファンとの交流やファンサービスを何より大切にする関取(十両以上の力士)の一人。知られざる巡業での力士の過ごし方や巡業に臨むうえでの思いを、角界の人気者が語る。

 阿炎の巡業の一日は、会場でコンビニのおにぎり2個を食べることから始まる。具材にこだわりはなし。その後まわしを締め、朝の稽古へ向かう。夏巡業前、「巡業はファンサービスの場でもある」と語っていた。「ファンがいなかったら相撲界はない。ファンのお陰というのは、常に頭にある」。開場はおおむね午前8時。阿炎が会場に出てくれば、サインを求めるファンの長蛇の列がすぐにできる。

 同11時頃に終わる稽古後、土俵上では序二段、三段目、幕下ら若い力士の取組が始まる。幕内の土俵入りは午後1時半頃で、その後、取組も行われる。土俵入りの時間まで阿炎ら幕内力士は、待機場所として用意される体育館などで休憩を取る。畳1畳ほどの個人スペースで、過ごし方はそれぞれ。地元のお客さんと談笑したり、昼寝をしたり。数人でゲームやトランプを楽しむ力士もいる。ちなみに阿炎は「移動で寝られなくなるから昼寝はしない」そうだ。

 移動は、巡業の中でも過酷だ。今回は山形・村山市から青森市までが約6時間かかったという。関取衆は、観光バスの4列シート2席分を1人で使用する。阿炎は「2席で1人だけど、前が狭いでしょ。横が広くてもきつい」とポツリ。それでも「名古屋にいつも応援してくれる男の子がいて、その子がメダルとかトロフィーとか作ってくれる。そういうのはうれしいよね」と、各地で待つファンが元気をくれる。

 全国を行脚する楽しみも。「いろんな人に会えるし、地方の食べ物もいろいろある」。富山で訪れたすし店「鮨人」では、ノドグロの雄と雌を食べ比べたそうで「めちゃくちゃおいしかった」。差し入れも、各地の名産のお菓子をもらうことが多いという。ぜいたくを言えば一点だけ。「持ち運びしやすくて、長持ちする食べ物がうれしいかな」

 ファンにとっての巡業最大の魅力は、身近に力士と触れ合えることだろう。「自分の稽古の時間ギリギリまでは(ファンサービス)やるよ。(サイン)書ける時なら、好きな時に来てもらえれば」と阿炎。朝の稽古の時間帯は、サインや写真撮影にはベストな時間帯。ただ、こんなお願いもある。「列の前に子供がいるのに押す人がいる。そういうのは嫌ですね。子供優先だから」。約30分間、立ってサインを書くことも珍しくない。ファンと力士、互いに気持ちのいい交流の場になることを願っている。

 7月28日に岐阜市で始まった夏巡業も、25日の「KITTE場所(都内)」で最終日。「巡業では、けがだけはしないように気をつけたい」と語る阿炎。今巡業も、ファンのためにペンを走らせ続けた。名古屋場所では、17年九州場所の阿武咲(おうのしょう)=阿武松=以来の新三役での勝ち越し。秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)では、更に上の番付を目指す。今後の活躍に期待がかかる人気力士と触れ合える巡業に、足を運んでみてはいかがだろうか。(大谷 翔太)

 ◆大相撲の巡業 主に2、6月を除く本場所のない偶数月に行われる。現在の巡業コースは春(関東、東海、近畿)、夏(東北、北海道、信越)、秋(東海、北陸、関西、中国、四国)、冬(九州、沖縄)。本場所の興行制度ができた1751年を基準とすると約270年の歴史を持つ。

札幌巡業で赤ちゃんと触れ合う阿炎
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