ラジオ局に映像スタジオ!?4K対応の新スタジオを作った文化放送の狙いとは

文化放送が新設した本格映像スタジオ「Jスタ」
文化放送が新設した本格映像スタジオ「Jスタ」
「Jスタ」の出演者から見た風景。ブースと副調整室が一体となっている
「Jスタ」の出演者から見た風景。ブースと副調整室が一体となっている
東京・浜松町にある文化放送社屋
東京・浜松町にある文化放送社屋

 文化放送に新しいスタジオが誕生した。7月24日に本格稼働を始めた「Jスタ」で、同局では11番目となるスタジオだ。最大の売りは4K制作もできる本格的映像スタジオであること。なぜラジオ局に映像スタジオが必要なのか?その疑問に答えるべく、出来たてほやほやの「Jスタ」に潜入、現状の使用方法や将来性を探ってきた。(高柳 義人)

 生放送中とあって、そーっとドアを開けると、出演者2人が横に並んでトークを繰り広げていた。テレビカメラは4台。固定でそれぞれの顔のアップと、引きでの全体の映像などを撮影している。今までの、いわゆる対面式で座り、ガラスでブースと副調整室が分かれているラジオスタジオとは違う。「Jスタ」はまさに映像スタジオだ。

 文化放送は2008年10月6日に初めて動画放送を行った。その前に同局の特異性を説明したい。アニメ・ゲーム分野での優位性だ。1991年に声優・日高のり子が出演するラジオ初のアニメ番組「ノン子とのび太のアニメスクランブル」が大ヒット。その後の声優ブームもあり、週末の夜を「A&G(アニメ&ゲーム)ゾーン」として拡大。関連番組が増えた。

 その「A&G」が映像“配信”のきっかけにもなった。地上デジタル音声放送が試験的に始まった。音声だけなく映像も放送できることになり、実験放送を行った。通常放送に加え、専門チャンネル「超!A&G+」で動画放送を行った。チューナーの問題で視聴者が少ないため、インターネット配信のサイマル放送も始めた。11年3月限りでデジタルラジオの試験放送が終了すると、インターネット配信に特化した。

 現在「超!A&G+」は、日本唯一のアニメ&ゲーム系専門チャンネルとして、1日22時間の放送で全番組の約4分の3は動画配信を行っている。番組は100を超え、その約3割は文化放送でも放送している。パソコンと専用アプリで見られる「超!A&G+」は延べ1000万人が登録する一大コンテンツに成長した。

 従来は録音専用のラジオ用のスタジオに映像機材を設置していたが、手狭でもあり「本格的映像スタジオ」の設置が要望された。同局の本社ビル内の子会社セントラルミュージックの会議室を転用。メディア開発局技術・システム部の上原裕司さんは「会議室だったんですけど、歌のレッスンだったり、音楽を聴くので元々防音(機能)があったので助かりましたね」と言う。

 広さは43平方メートル。スタッフも「ワンマンでも取り回しがしやすいので活用できる。動画用に最初から作られているので、今までできなかったこともいろいろできる」と歓迎している。片寄好之常務取締役メディア開発局長は「働き方改革も含めて、できるだけ少ない制作人数で作れるように、最少1人でディレクター、ミキサー、スイッチャー、カメラマンの4役がこなせるようになっています」と説明している。

 来たるべき5G(第5世代移動通信システム)時代を見据えた、将来への一手でもある。現在はハイビジョン撮影をしているが「Jスタ」は4K撮影にも対応している。同局は「現在より高画質にすることを検討しています」と説明。上原さんは「カメラ台数が多くなって、それぞれの声優さんをカメラで抜いている。インターネット配信なので、(将来的には)1個1個のカメラごとにチャンネルを分けてあげて、(視聴者が)選ぶこともできるようになる」と具体例を挙げた。さらにスタジオだけでなく、テレビのように生放送中に中継先からの映像を入れることも可能だという。

 ラジオとテレビ、音声と動画、放送と配信。今までの境界がなくなっている現在。放送局として可能性を広げる文化放送の“挑戦”に期待したい。

文化放送が新設した本格映像スタジオ「Jスタ」
「Jスタ」の出演者から見た風景。ブースと副調整室が一体となっている
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