前田日明氏と大仁田厚をニアミスさせる高山善廣の聖域なき人脈…金曜8時のプロレスコラム

大仁田厚VS船木誠勝で終結したFMW対UWFだったが(写真は2017年2月26日の八王子大会)
大仁田厚VS船木誠勝で終結したFMW対UWFだったが(写真は2017年2月26日の八王子大会)

 リング上の事故で、頸髄完全損傷を負い長期入院中の“帝王”高山善廣(52)を支援する「TAKAYAMANIA EMPIRE2」が26日、東京・後楽園ホールで開催される。昨年8月31日、同会場での「TAKAYAMANIA EMPIRE」を継続させる第2弾興行で、高山善廣の名の下に今年も様々な団体から36人のレスラーがリングに上がる。

 今年も親友で発起人の“プロレス王”鈴木みのる(51)=パンクラスMISSION=がメインイベントを飾る。鈴木秀樹(39)=スネークピットジャパン=とリアル鈴木軍を結成して、丸藤正道(39)=プロレスリング・ノア=、田中将斗(46)=プロレスリングZERO1=組と対戦する。

 以下、出場選手と団体名を挙げていけば、そこに高山の人間模様と多団体転戦の歴史が浮かんでくる。中でも特筆すべきは、UWFの“格闘王”前田日明氏(60)とFMWの“涙のカリスマ”大仁田厚(61)が名を連ねていることだろう。

 高山はUWFインターナショナルでデビューする前に、前田氏の旧UWFで新弟子だった時代があり、最初の師匠だった。そして、大仁田氏とは2015年に創設されたタイトル「爆破王」をめぐって有刺鉄線電流爆破デスマッチで抗争した最後のライバルだった。聖域なき振り幅を持った高山の相関図の対極にいた前田氏と大仁田。この水と油とも言うべき、溶け込むことがあり得ない2人の因縁は、今さら書くまでもないが、「大仁田さん、チケット持ってますか?」とUWFに門前払いされた31年前の黒歴史が横たわっている。

 高山が大仁田の電流爆破に踏み込んだ時点で、大仁田は対UWFの因縁を引っ張り出し、FMW対UWFの対抗戦を仕掛けた。藤原喜明(70)、船木誠勝(50)をも電流爆破のリングに上げることに成功したが、高山が2017年5月4日にリングでの事故に遭遇したのと前後して、抗争は自然消滅した。

 「TAKAYAMANIA EMPIRE2」では、第4試合「邪道vs野獣」で大仁田は、樋口和貞、大家健と組んで、藤田和之、NOSAWA論外、FUJITAと対戦する。このマッチメークもすごい。大仁田は、2年前の10月31日に後楽園ホールで、7年ぶり7度目の引退試合としてKAI&鷹木信悟と組んで藤田、ケンドー・カシン、NOSAWA組と対戦しており、同じ後楽園ホールで、藤田、NOSAWA組と再会するという、あり得ないはずの試合となる。「後楽園で試合するのはあの時、以来。呼んでもらえたのは正直、うれしいよ。高山選手は頭から電流爆破に突っ込んでくれた思い出があり、尊敬してるんですよ」と大仁田は話す。

 この試合の次に、前田氏は武藤敬司(56)とスペシャルトークバトルという対談を行う。前田氏は前回のTAKAYAMANIAで「高山! プロレスラーの体はな、神経で動くんじゃないんだよ。魂で動くんだよ」という名言を生んでいる。大仁田がリングを散々荒らした後に、前田氏のリングインとなるが、実はこの間に休憩時間が設けられており、退場即入場とはならず、接触があるかどうかは、どちらかが意識して歩み寄らなければ実現しそうにない。「向こうも会うつもりはないでしょう」と大仁田は苦笑する。

 前田氏と大仁田が同じ興行に参戦したのは、過去にもあった。1995年4月2日、東京ドームでのベースボール・マガジン社主催「夢の懸け橋」だ。リングスの前田日明は、第9試合のクリス・ドールマン引退試合で勝利。大仁田はポーゴ大王とのノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチで勝利している。厳密には、この時は大仁田はメインリングではなく、爆破マッチ用の特設リングに上がっており、同じリングではなかった。

 同じリングで戦ったのは、ちょうど40年前の1979年8月26日、日本武道館での「プロレス夢のオールスター戦」。第1試合で行われたバトルロイヤルだ。3団体19人参加の、その他大勢とともに戦った。この時に前田がキックを見舞い、大仁田が「硬いなぁ」ととあきれたというエピソードが残っている。デビューしたばかりで荒削りな前田を、大仁田がプロの先輩としてあしらった感じだったのか。「TAKAYAMANIA EMPIRE2」出場者でこの「プロレス夢のオールスター戦」に出場しているのは、前田氏と大仁田だけなのだ。40周年記念日の邂逅でもあるのだ。

 その後、接点のないまま歩んできた双方の40年の歴史は、とても深い。潰し合わずに距離を置き続けた2人が、同じ興行のリングに上がってプロレスファンの喝采を浴びることを祝福したい。それも、すべては高山善廣の名の下に…。帝王の偉大さを感じずにはいられない。(酒井 隆之)

 ◆「TAKAYAMANIA EMPIRE2」(8月26日、東京・後楽園ホール)

 ▽第7試合 メインイベント

 鈴木みのる、鈴木秀樹 vs 丸藤正道、田中将斗

 ▽第6試合 セミファイナル NOAH vs DDT

 清宮海斗、原田大輔、宮脇純太 vs 竹下幸之介、上野勇希、渡瀬瑞基

 ▽第5試合 新日本&ゼロワン交流戦

 永田裕志、大谷晋二郎、辻陽太 vs 小島聡、高岩竜一、北村彰基

 ▽スペシャルトークバトル

 前田日明 vs 武藤敬司

 ▽第4試合 邪道 vs 野獣

 大仁田厚、樋口和貞、大家健 vs 藤田和之、NOSAWA論外、FUJITA

 ▽第3試合 井上雅央 試練の高山善廣指名試合

 井上雅央 vs 関本大介

 ▽第2試合 センダイガールズ提供試合

 里村明衣子、橋本千紘 vs 松本浩代、DASH・チサコ

 ▽第1試合 超スペシャル6人タッグ

 男色ディーノ、高木三四郎、ストーカー市川 vs アントーニオ本多、アントニオ小猪木、アントン川村

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