箱根駅伝完敗から6年 MGCに向けて「自分が一番強い」

東京五輪マラソン代表選考会に向けて本拠地の長崎で走る井上大仁(右、左は岩田勇治、中央は木滑良)
東京五輪マラソン代表選考会に向けて本拠地の長崎で走る井上大仁(右、左は岩田勇治、中央は木滑良)

 2020年東京五輪マラソン代表選考会(MGC、9月15日)に臨む井上大仁(ひろと、26)=MHPS=が21日、長崎市の三菱重工長崎造船所で会見を行い、代表入りにかける思いやマラソン哲学を語った。「MGCで優勝を目指す。一番強いのは自分だと思っています」と堂々と話した。

 井上は6月12日に日本選手権5000メートルに出場(12位)した後、7月中旬から約1か月、標高約1700メートルの米コロラド州ボルダーで高地トレーニングを行い、16日に帰国。今後は大分・久住高原で調整し、MGCに臨む。

 31人が出場するMGCの男子。日本記録保持者の大迫傑(28)=ナイキ=、前日本記録保持者の設楽悠太(27)=ホンダ=、昨年の福岡国際マラソンで優勝した服部勇馬(25)=トヨタ自動車=、そして、昨年8月に高温多湿のインドネシア・ジャカルタで行われたアジア大会で日本勢32年ぶりの金メダルを獲得した井上が「4強」と目されている。「注目されているなら、頑張りたい」と井上はサラリと話す。

 大迫、設楽との因縁は深い。山梨学院大2年だった2013年の箱根駅伝。井上は大迫(当時早大3年)、設楽(同東洋大3年)とともに3区(21・5キロ)に出走した。強風吹き荒れる箱根路で区間賞を獲得した設楽には2分4秒、区間2位だった大迫には1分56秒の遅れを取った。当時、大きな実力差があったが、あれから6年半の月日が流れ、マラソン日本代表の座を争うことになった。

 「大迫さん、設楽さんは意識しますが、自分と向き合うことが一番大事。一番の敵は自分です。タイムで言えば大迫選手が一番速いですが、一番強いのは自分だと思っています。根拠ですか? そこ(自分が一番という思い)を引いたらダメでしょう」

 井上は迷いのない表情で言い切った。

 その上で、本音とマラソン哲学の一端を明かす。

 「自分が一番強いというのは、本心の部分と、あえて言うことで自分を追い込むという部分が半々ですね。昔は走ることが楽しかった。今は楽しいと感じることはできない。もがいて、苦しんでいきたい。高校(長崎・鎮西学院)に入学し、チャンピオンスポーツとして取り組んでから、楽しいばかりではダメだと思っています」ときっぱり。五輪に出場するトップアスリートでも「楽しむ」ことをモットーとする選手が多い中で、井上は“昭和のマラソンランナー”の雰囲気を醸し出している。

 井上を指導する黒木純監督(48)は「自分が一番強いと堂々と言える選手でなければ一番になれない。なかなか言えることではないが、井上はそれだけの努力をしています」と話す。

 運命のレースまで1か月を切った。「優勝を目指します。レース展開は読めないので、タイムは全く考えていません。20キロで飛び出す選手がいるかもしれないし、30キロで飛び出す選手がいるかもしれない。残り1キロの勝負になるかもしれない。レースの中で対応します。前半は神経をすり減らさずに走り、後半に集中して行く(仕掛ける)と決めたら行くし、我慢するなら我慢する。中途半端なレースはしません。五輪本番は盛り上がるでしょうけど、今はMGCをしっかり走り切ることしか考えていません」。井上は一戦必勝を強調した。

 陸上競技部や駅伝部ではなく、マラソン部を名乗るMHPSからは井上だけではなく、木滑良(28)、岩田勇治(32)もMGCの出場権を持つ。安定感が持ち味の木滑は「五輪で走りたいという気持ちは強い」ときっぱり。30歳を過ぎて急成長中の岩田は「4年に一度の五輪。それが日本で行われる。日本で日の丸をつけて走りたい」と熱い気持ちを披露した。黒木監督は「我々はマラソン部なので、ニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)はありますが、マラソンに特化した強化を続けてきた。3人を代表に送り込みたい」と大きな野望を明かした。

 MGCは9月15日に男女同時開催。男子は午前8時50分、女子は午前9時10分にスタート。まだ、完成していない東京新国立競技場のスタート、ゴールを除き、東京五輪の本番とほぼ同じコースで行われる。男女ともに上位2選手は代表に内定する。3位の選手も、MGC後の男女各3レースで設定記録(男子2時間5分49秒、女子2時間22分22秒)を破る選手がいない場合、代表に選ばれる。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請