バイク事故で亡くなった青木篤志さんを追悼して生まれるオールスター戦…金曜8時のプロレスコラム

追悼大会から再販売された「青木篤志の不満しかないTシャツ」(全日本プロレス)
追悼大会から再販売された「青木篤志の不満しかないTシャツ」(全日本プロレス)

 6月3日にバイク事故のため41歳で亡くなった全日本プロレスの世界ジュニアヘビー級王者・青木篤志さんの追悼大会が11日、東京・後楽園ホールで開催され、超満員札止めとなる1813人の観衆が黙とうをささげた。

 青木さんは、5月20日の後楽園ホール大会で岩本煌史(29)を破り、第51代世界ジュニアヘビー級王者になったが、その2週間後の6月3日午後10時半ごろ、東京・北の丸公園の首都高トンネル内でバイクとともに倒れているのを発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。

 追悼大会では10カウントゴングの後、「世界ジュニアヘビー級チャンピオン、青木篤志!」とコールされ、無数の青い紙テープがリングに投げ込まれた。6月18日の全日本プロレス「2019ダイナマイト・シリーズ」後楽園大会でも、全試合終了後に追悼セレモニーが行われ、1374人(満員)を前に同じようなシーンが展開されており、デジャブ(既視感)のようだったが、この追悼大会はいろんな観点から意義があった。

 プロレスリング・ノアでデビューし、全日本プロレスに移籍した青木さんは、両団体をつなぐ“架け橋”になったからだ。メインイベントでは、全日本のエースで三冠ヘビー級王者の宮原健斗(30)とノアの象徴、丸藤正道(39)が青木さんが育てた青柳優馬(23)と6人タッグに出場。相手は全日本の世界タッグ王者コンビ、諏訪魔(42)、石川修司(43)組に、青木さんとノアに同期入門(2005年)した谷口周平(42)が加わった。

 セミファイナルでは、全日本の秋山準GM(49)とノアの生え抜き第1号の杉浦貴(49)がタッグを結成し、全日本の野村直矢(25)、ノアの熊野準(27)と混成世代対決を行うなど、青木篤志の名の下に、枝分かれした全日本とノアが一体となった。

 毎年5月には初代三冠ヘビー級王者・ジャンボ鶴田さん(2000年5月13日没、享年49歳)のメモリアルマッチが全日本で行われ、ノアでは毎年6月13日の初代GHCヘビー級王者・三沢光晴さんの命日(2009年没、享年46歳)にメモリアルナイトが行われている。ここは、きっちり住み分けができており、両団体が一致団結するというイメージはなかった。両雄が偉大すぎるため障壁ができてしまうが、青木さんは選手会目線で、みんなが一緒になれるフランクな存在だということがわかる。

 違う観点から見ると、この日は新日本プロレス「G1クライマックス29」の日本武道館大会3連戦の中日だった。東京都内での新日本VS全日本の興行戦争。ともにCS放送で午後6時から生中継されるというガチンコ対決だった。

 規模こそ違うが、かつての仁義なき興行戦争を連想すると…。1975年12月11日に、ジャイアント馬場の全日本プロレスを中心とした「力道山十三回忌追善特別大試合」が日本武道館で開催され、新日本プロレスは蔵前国技館でアントニオ猪木VSビル・ロビンソンのNWFヘビー級選手権を組んだ。

 現在は1強となっている新日本に対して、業界2位をうかがう全日本とノアが団結して対抗するという図式。全日本もノアも経営者がかわり、やや垣根ができたかと思われていただけに、青木さん追悼で新たな息吹が差し込んだのは確かだ。諏訪魔&石川修司の暴走大巨人と融合した谷口周平がノアでは見せない、とてもいい表情をしていた。セレモニーでは泣きながら追悼スピーチをした諏訪魔がバックステージでは同世代トリオ結成を喜び「オレは(本名)幸平だから」と周平、修司と3人とも共通点のある名前に奇縁を感じていた。

 そして、青木さんが保持したままになっている世界ジュニアヘビー級王座の行方はどうなるか。6月18日の後楽園大会で予定されていた盟友・佐藤光留(38)との初防衛戦は中止となり、佐藤は「ベルトを持ったまま遠くへ行っちゃった。青木さん、そのベルトを誰にも渡さないでください」と宣言し、全日本プロレスでは、奪取後の防衛期限である11月末まで、青木さんを王者として認定することを決めた。

 初代王者は1986年の決定戦で勝利したヒロ斎藤(58)で、渕正信(65)、百田光雄(70)、小川良成(52)、鈴木鼓太郎(41)、金丸義信(42)、TAKAみちのく(45)、ケンドー・カシン(51)、TAJIRI(48)ら、全日本、ノアを超えて、興味深い面々が歴代王者に名を連ねている。前身のNWAインターナショナル・ジュニアヘビー級王座にまで言及すると、壮大すぎるのでやめておくが、青木さんが王座を手放す12月から、世界ジュニアの歴史を感じさせてくれる王座決定戦が繰り広げられることに期待したい。(酒井 隆之)

 ◆全日本プロレス「青木篤志追悼大会」(8月11日、東京・後楽園ホール)=観衆1813人(超満員札止め)

 ▽第1試合  8人タッグマッチ

 大森隆男、丸山敦、○ブラックめんそーれ、ブラック・タイガー7(7分33秒スネークスパイク→片エビ固め)大森北斗、青柳亮生、田村男児●、フランシスコ・アキラ

 ▽第2試合 6人タッグマッチ

 ヨシタツ、○ウルティモ・ドラゴン、井上雅央(10分52秒、ラ・マヒストラル)渕正信、西村修、SUSHI●

 ▽第3試合 シングルマッチ

 ○岡田佑介(6分48秒、フィッシャーマンバスター→体固め)太田一平●セコンド:平柳玄藩

 ▽第4試合 6人タッグマッチ

 ○ゼウス、ボディガー、ディラン・ジェイムス(7分17秒、ジャックハマー→片エビ固め)ジェイク・リー、岩本煌史●、岡林裕二

 ▽第5試合 タッグマッチ

 ○佐藤光留、和田拓也(10分50秒、クロスヒールホールド)野村卓矢、阿部史典●

 ▽第6試合 タッグマッチ

 ○秋山準、杉浦貴(15分07秒、垂直落下式エクスプロイダー→体固め)野村直矢、熊野準●

 ▽メインイベント 6人タッグマッチ

 ○諏訪魔、石川修司、谷口周平(22分26秒、ラストライド→体固め)宮原健斗、青柳優馬●、丸藤正道

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