◆第101回全国高校野球選手権大会第8日 ▽2回戦 国学院久我山3─19敦賀気比(13日・甲子園)
敦賀気比(福井)の杉田翔太郎一塁手(3年)が、国学院久我山(西東京)戦で、夏の甲子園史上6人目のサイクル安打を達成した。初回と3回に単打、2回に二塁打、5回に三塁打で王手をかけ、9回に右中間本塁打で決めた。5安打7打点の活躍で、チームも、ともに福井県勢甲子園最多となる22安打19得点で快勝した。
謙虚に狙い澄ました打球が風に乗ってライトスタンドに飛び込んだ。令和初、自身の人生でも初というサイクルヒットを右越え2ランで決めた杉田は「まさか自分が。素直にうれしい」。3万人の拍手と歓声を一身に浴びてダイヤモンドを一周した。
5回に右中間を破る適時三塁打を放つと、球場とベンチの雰囲気が変わった。初回と3回にシングル、2回に左越え二塁打を打っており、スタンドからは「ホームラン打って!」の声が。「ベンチでホームランを求められて意識してしまった」と、7回は大振りになってレフトフライに終わった。「自分は逆方向を意識して、4番につなぐのが仕事」。初心を思い出して、体の開きを修正して向かった6打席目。東哲平監督の「今日は試合前からバットが振れていた。何かしてくれると思っていた」という予感を見事に的中させ、2004年の駒大苫小牧・林裕也以来、夏の甲子園では史上6人目の快挙を達成した。
アルプスには、出身の東大阪市から、友人や小中学校時代の担任教諭ら総勢30人が応援に駆けつけていた。小さい頃から「野球の神様はいるよ」と言い聞かせてきた母・千恵子さん(46)は「盆と正月が一緒に来ましたね」と関係者と喜びを爆発させた。
県勢最多19点 19得点は福井県勢の春夏通じての最多得点。そのうち7打点を叩き出し、今大会の主役の一人に躍り出た杉田は「次も初心を忘れず、逆方向を意識してライナーを打つ」と足元を見つめ直した。敦賀気比は15年センバツで優勝したが、夏は95年と14年のベスト4が最高。県勢初の夏の頂点へ、一歩ずつ進む。(中間 卓也)
◆杉田 翔太郎(すぎた しょうたろう)
▽生まれとサイズ 2001年6月5日、東大阪市。18歳。174センチ、74キロ。左投左打。
▽野球歴 小4で地元子供会のチームでソフトボールを始める。小5から「八尾河内ボーイズ」に入団し、投手と内野手。中学では「大阪八尾ボーイズ」に所属。敦賀気比高では2年秋に背番号「9」でベンチ入り。
▽好きな飲み物 ビックルなどの乳酸菌飲料。
▽好きな食べ物 サーモンのすし、焼き肉。
▽あだ名 スギタ、すぎプリン。
▽きれい好き!? 木下と同部屋の寮の部屋は一番きれいと評判。千恵子さんは「片付けられるようになったのは成長。実家ではゴミ箱か!みたいな部屋だったのに」。
▽いいヤツ 4番の木下いわく、山の中にあるグラウンドに大きな虫が大量発生しても「めちゃくちゃいいヤツなので、投げ捨てたりできない。アリの大群とかを誘導してあげる」。
▽家族 両親と姉、弟、祖父母。