轟悠「チェ・ゲバラ」で魅せます“リアリティー革命”

眼光鋭く伝説の革命家チェ・ゲバラを演じる専科・轟悠(東京・日本青年館ホール公演から)
眼光鋭く伝説の革命家チェ・ゲバラを演じる専科・轟悠(東京・日本青年館ホール公演から)

 宝塚歌劇専科スター・轟悠(とどろき・ゆう)の主演ミュージカル「チェ・ゲバラ」(作&演出・原田諒)の大阪公演が11~19日、梅田のシアター・ドラマシティで上演される。1959年にキューバ革命を成功に導いたゲリラ指導者エルネスト・ゲバラが、誇りと理念を貫く姿を描く伝記もの。南米のカリスマ役に「宝塚でもこういう作品ができる、という形でもいいのでは」。夢の国タカラヅカの“リアリティー革命”の先駆者ともいえる大べテランが、東京公演に引き続き、劇場を緊迫した空気に包み込む。(筒井 政也)

 奴隷解放の父・リンカーン米大統領(2016年・花組「For the people」)に続き、世界を変えた偉人の役だ。南米各地を旅して回り、貧民の生活を見つめ「俺には他にやるべきことがあるはず」と医師の仕事を捨てたアルゼンチン人・ゲバラ(轟)が、フィデル・カストロ(風間柚乃)に手を貸し、母国でもないキューバを変えるべく銃を手にする。

 革命を成し遂げるまでを描く第1幕では、激しい銃撃戦が展開される。「やはりラテンアメリカには日本人にはないリズム、熱さがある。風土が織りなす人間性がベースにないと、軽い戦闘シーンになってしまう」と自然発生したような闘志をむき出しに熱演。「国籍の違いなんか関係ない。同じ星に生まれた人間として、飢えて死んでいく貧しい人々のために戦う。人に対する優しさを表現したい」と、今もその精神が世界を酔わせるカリスマを体現した。舞台衣装も本物の戦闘服の生地を使うなど、とことんリアルにこだわってある。

 漫画やアニメを舞台にした、流行の「2・5次元化」とは一線を画すアプローチ。「For―」も担当した原田氏からは、宝塚の至宝・春日野八千代さん(12年没)を引き合いに、轟に与えられた“使命”が告げられた。

 「春日野先生が夢の世界の二枚目『白薔薇(ばら)のプリンス』を成立させて、後世に引き継がれた。私は『リアリティーを追求する人』だと。私も華やかで美しく、現実とかけ離れたものに引き込まれた一人なので、そのつもりはないんですけどね(笑い)」。一方で「中堅の頃から力強い役が多かったのは確か。私の性格だったり気質、風貌からそういう役回りになったのかも」と自己分析する。

 ナチスドイツを扱った雪組トップ時代の「凱旋門」(00年)も「宝塚的ではない」との劇評もあったが、轟の代表作の一つに。本作も「あまり取り上げない題材ですが、こういうのもあっていいのでは。毎回毎回、自分との闘い」。宝塚の懐の深さを証明するため、35年のキャリアを注ぎ込んだ。

 その志は、後進にも伝播する。盟友カストロ役の風間は6年目、妻アレイダ役の天紫珠李(あまし・じゅり)は5年目。重要な相手役は、まだ新人公演世代だ。「頭で考えようとせず、心に響かせるやり方を研1、2の段階で学ぶべき。研5、6なら組の即戦力になっていなければいけない。『まだ若手だから』は自分に甘いだけ。その気持ちが各組に欲しいな」と、厳しくも、さらなる成長を期待する。

 理事として劇団の未来を見つめるのも使命。8月に入って大型の組替えも発表された。「これからもきっと変化はある。そんな中でも、お客様に喜んでいただく精神を忘れずにいれば、110年、いや150、60年と続くのでは」。宝塚に命をささげる戦士の祈りだ。

 ◆轟 悠(とどろき・ゆう)8月11日生まれ。熊本県人吉市出身。1985年3月「愛あれば命は永遠に」で初舞台。第71期生。月組から88年に雪組に異動し、97年にトップスター就任。02年に専科入り。03年に歌劇団理事に。10月29日には「宝塚舞踊会~祝舞御代煌(イワイマウミヨノキラメキ)~」(宝塚大劇場)に出演する。身長168センチ。愛称「イシサン」「トム」「トムサン」。

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