原爆詩の朗読をライフワークにする女優・吉永小百合(74)が「原爆の日」の6日、三重県総合文化センター(津市)で「吉永小百合・村治佳織 チャリティ朗読コンサート2019―第五福竜丸を想って―」を行った。
令和になって初の朗読。この日朝、広島での平和式典の模様を伝えるテレビを見て会場入り。吉永は冒頭「今日は8月6日です。広島に原爆が落とされて74年。まだつらい思いをされている方がたくさんいらっしゃいます」と核廃絶を訴えた。親友のギタリスト・村治佳織さん(41)との共演で「ちちをかえせ」で始まる峠三吉「序」、林幸子「ヒロシマの空」などを時折、涙ぐみながら朗読。最後は地元の少年少女合唱団、満席の会場約960人と「ふるさと」を合唱し「これからも平和のためにできることを少しずつやっていきます」と決意を新たにした。
今回の催しは、米国の水爆実験で「死の灰」を浴びた第五福竜丸への思いも込めた。県民の強い希望と吉永の「広島、長崎だけでなく第五福竜丸も忘れてほしくない」の気持ちから実現。半年以上前から準備を進めてきた。被ばくから今年で65年。「年齢が分かってしまいますが、私が福竜丸を知ったのは小2でラジオを通じてでした」といい、原爆症で苦しむ乗組員の回復を願い続けたことを振り返った。朗読原稿には被災者への小学生の手紙も含まれ、場内には涙をふきながら聞き入る者もいた。
吉永は「広島以外で8月6日に行うのは初めてでしたが、子どもたちが熱心に耳を傾けてくれてうれしかった。今回いろいろ本を読んだり調べ物も多かったので。映画の仕事よりちょっと疲れてしまいました」と全力を出し切った様子。
広島・平和記念資料館(原爆資料館)の音声ガイドを長年担当しているが、都立第五福竜丸展示館(江東区夢の島)の動員も気になっている。「最近減っているのでもっと来てもらうようにしなければ」と力を込めていた。
〇…吉永は現在、新作「最高の人生の見つけ方」(犬童一心監督、10月11日公開)のキャンペーンに入っており、この日の朗読会はその合間を縫って行われた。121本目の映画出演作で初のワーナー・ブラザース作品。ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンで07年に公開されヒットした同名作をモチーフにしたロードムービー。天海祐希、満島ひかり、前川清らが共演する。
◆福竜丸と三重県 静岡県焼津市を母港とするマグロ漁船「第五福竜丸」は1954年3月、米国によるビキニ環礁の水爆実験で「死の灰」(放射性降下物)を浴び、乗組員23人が被ばく、うち久保山愛吉さん(当時40)が半年後に死亡した。船に使われたのが熊野灘の松材だったことなど三重県とつながりがある。
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