◆巨人2―8広島(1日・東京ドーム)
月が替わってもツキは変わらない。広島が緒方監督の積極采配で4カード連続勝ち越しに成功した。首位・巨人に4ゲーム差は、7月2日以来の接近となった。「作戦(のこと)はいいよ。でも、切り替わったサインの中で選手がよく動いてくれた」と指揮官が振り返ったのは同点の7回無死一、二塁で打ったバクチだった。
6回1失点の野村に代えて磯村を代打起用。3ボールから送りバントをファウル。そして5球目に仕掛けた。伝達したサインはバスターエンドラン。磯村が引いたバットを叩きつけた打球は、ワンバウンドで三塁の頭上を越えた。決勝の左前適時打。この回、計6安打を集中させて一挙に4点をもぎ取った。
6月30日のDeNA戦で緩慢プレーの野間を平手で叩いた。その重苦しい空気がナインに波及したのか、前半戦は11連敗で終了。巨人に11ゲーム差をつけられた。それでも「本当の意味での勝負は夏場」と前を向いた。後半戦開幕の7月15日、野間を含めたナインに謝罪。するとツキものが落ちたように、以降は11勝3敗と王者らしさを取り戻した。
2位のDeNAにも0・5差に迫った。「一試合一試合は変わりなく、次の試合に向かって準備していく」と指揮官。遠くかすんでいた「4連覇」の3文字が、はっきり視界に飛び込んできた。(田中 昌宏)