決してクレイジー一本ではないN国・立花孝志代表

「NHKを国民から守る党」に入党した丸山穂高衆院議員(右)と同党の立花孝志代表
「NHKを国民から守る党」に入党した丸山穂高衆院議員(右)と同党の立花孝志代表

 7月の参院選のお話をしたい。とは言っても3分の2の改憲議席を確保できなかった与党のことでも、まあまあの党勢拡大を見せた立憲民主党のことでも、ましてや選挙戦の目玉となったれいわ新撰組のことでもありません。代表の立花孝志氏(51)がサイキック的当選を果たした「NHKから国民を守る党」(略称・N国)のことだ。

 N国は一見すると破天荒。訴えたいのは「受信料を支払った人だけが視聴できる『NHKのスクランブル放送』の実現」だけだ。実現すれば解党すると断言しているのだから文字通りの一本公約、それ以外の政策は全くのゼロ。「ネットで一般から募集して、一番多い意見を採用する」という清々しいほどのポピュリズムを貫く。

 選挙中に行った立花代表のNHK政見放送も話題を呼んだ。「NHKのスタジオでNHKのことを言う。最高ですね~」「NHKの受信料を払わない方法、いまからお教えしますね~」「NHK職員もさぁご一緒に『NHKをぶっ壊す!』…って言えませんよね~」。内田裕也さん、東郷健さん、マック赤坂さんら先達に劣らぬインパクトだった。すごいなぁと思ったのは選挙直前、立候補者全員が集った会見の後。立花代表が「みなさ~ん、これから借用書お配りしますよ~」とアナウンス、供託金を貸し付けた候補者に対してその場で300万円の借用書を書かせていた。マスコミわんさかのなかで普通に書いちゃう候補者たち。ある方に「借用書の写真撮らせて」とお願いしたら当然断られた。

 ここまでの経緯を見ると、みなさんは立花代表を「アレな人だなあ」との印象を持っているかもしれない。だが、話をしてみると結構マトモ。個人的には、世間に合わせた論理的思考をする人だと思っている。今回のN国躍進も、戦略を積み重ねたうえでの必然の結果だった。

 立花代表が船橋市議に当選した15年。取材でなく趣味で話を聞きにいくと「選挙ってすべてに意図を持たないといけないんですよ。マック赤坂さんに言っといて!」と当時は選挙連敗記録ばく進中だった先輩へメッセージを送っていた。立花代表によると、選挙には「アピールして次につなげる捨て選挙」と「当選するためのガチ選挙」が存在。両者を組み合わせていき、最終的に大きな選挙での当選を目指すのだという。

 確かに布石は打っていた。立花代表は16年に捨て選挙として東京都知事選へ立候補。街頭やネットでの地道な啓発活動を経て、19年春の統一地方選ではN国で47人を出馬させて26人が当選した。参院選直前の6月、自身が堺市長選に立候補。知名度がなかった関西地方に顔を売った。

 そして今回の参院選、億単位の借金をして勝負をかけた。立候補者は41人。面接もなく「出たけりゃ即公認」というユルさでとにかくかき集めた。自身は比例出馬した一方、37人は各選挙区からの立候補。公選法の「比例で2%もしくは選挙区で2%の得票」のうちの後者で政党要件を取りに行った。私は「1議席も取れなかったら借金どうすんの?」と勝手に心配していたが、結果は議席どころか政党要件までコンプリート。立花イズムが爆発した。

 13年、立花代表は総務省にダメ元で「NHKから国民を守る党」の党名を申請。すんなり認められた。「いやあ、まさか本当に通るとは…」と当時を振り返る。総務省にこの独特党名が拒否されていたら、「インパクト&当選」戦略が不可能なので、各選挙への挑戦もなかったはずだ。

 今後は参院議員として6年を過ごす予定の立花代表。常識と非常識を自在に操る人だと思って見ていただければ、みなさんもその行動原理を理解できるのではないでしょうか。

(文化社会部 樋口 智城)

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