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つらいヤジ…大船渡・佐々木朗希の投げない決勝戦に思う 「過密日程」の緩和が優先

スポーツ報知
準優勝楯に、口を引き締める大船渡・佐々木朗希

◆第101回全国高校野球選手権岩手大会 ▽決勝 花巻東12―2大船渡(25日・岩手県営)

 試合後の三塁ベンチ前だった。強烈な太陽光線が注がれる中、報道陣の質問へ真摯に対応していた大船渡の国保監督に、客席の中年男性からヤジが飛んだ。

 「甲子園に行きたくねえのか!」

 悲しい気持ちになった。行きたくないわけないじゃん。最高のエースを擁して、むちゃくちゃ行きたいはずだよ、きっと。でも、佐々木朗希は甲子園切符がかかった岩手大会のファイナルマッチに出場しなかった。指揮官はその理由をこう説明していた。

 「投げられる状態ではあったかもしれませんが、私が判断しました。投げさせませんでした。理由としては、故障を防ぐ。筋肉の張りとか、その程度だと思いますが、特に痛いとかはなかったですが、私が判断しました」

 悩んだ上での決断だったか。そんな問いに指揮官は「特に悩みはないです」と答えたが、それは強がりというものだろう。球界の宝の障害予防か、あるいは甲子園への夢切符か。つらい決断だったと察する。

 そして思う。この二つはどちらか一方を選択すると、もう一方を諦める類いのものなのか。両方を実現する手段はないだろうか。

 前に進める方法があるはずだ。それは過密日程の緩和である。なぜ準決勝と決勝が連戦で行われなければならないのだろう。開幕を早めることで十分に間隔を空け、疲労を取り、両チームともに心身のコンディションを整えた上で、最高の決勝戦を行うことは、そう難しくはないはずだ。

 私は試合後の国保監督に、過密日程についてどのようにお考えか、聞いた。「私は発言する立場にないと思っています」。誠実に答えていただいたが、今後も同様の苦悩を抱く指導者が出てくるのはやりきれない。

 時代は急速に変わりつつある。大会運営もプレーヤーズ・ファーストの視座を大切に、前例にとらわれることなく、変えるべき点は勇気をもって変えていきたい。心ある指導者がもう二度と、つらいヤジに晒されないためにも。(野球デスク・加藤 弘士)

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