市井紗耶香氏は、本当に政治家になりたかったのか?

立憲民主党公認から比例で出馬した市井紗耶香氏
立憲民主党公認から比例で出馬した市井紗耶香氏

 21日に投開票された参院選。今回の立候補者のうち、当落が最も注目されていたうちの一人が、立憲民主党公認から比例で出馬した元「モーニング娘。」の市井紗耶香氏(35)だった。結果はご存知の通り、党内で次点に終わり落選した。

 3年前の参院選で当選した元「SPEED」の今井絵理子氏(35)が、当選直後に沖縄の基地問題について「これから勉強します」と話し、さらに神戸市議(当時)と不倫騒動を起こしたことで、「タレント候補」に対する視線が冷ややかだったことは、少なからず影響はしているだろう。ただ、選挙戦を取材している中で感じたのは、それだけではなかった。「本当に政治家になりたい」という意欲が、市井氏から正直言ってあまり伝わって来なかったのだ。

 公示前、初めての街頭演説をした際には自分の子供の年齢を言い間違ったりもしたが、その時はまだ聴衆も「不慣れ」「初々しさ」で許してくれていたと思う。演説では、病児保育を中心とする子育て支援について語っていたのだが、その内容が投開票日直前になっても、ほとんど変わっていなかった。

 本来であれば、選挙戦の中で有権者から意見を聞き、それを元により具体的に話すことで、身近な問題として知ってもらわなければいけないのが、最後までフワッとした内容。これでは、聴く人たちの心には残らない。安倍晋三首相は今回の選挙で「改憲を訴えてきた」と話しているものの、有権者にとっては年金や教育・子育ての方が関心が高く、実際に候補者、特に野党側は訴えの時間を後者に割いていた。それだけに、“その他大勢”に埋没してしまっていたとみられる。

 私自身は「タレント候補」自体の存在については否定しない。要は、選ばれた後に仕事をすればいいだけ。今回、東京選挙区でトップ当選した自民の丸川珠代氏(48)だって、最初は「元アナウンサー」というタレント枠だった。

 「勝つためには違反以外だったら何をやってもいい」というのが選挙だと認識をしているし、知名度というのは大きな武器。市井氏であれば、もっと「元モー娘」を前面に押し出すべきだったし、かなうのであれば元メンバーに応援を頼んでもよかった。その点で、市井氏には「政策に関する勉強」という点だけでなく「がむしゃらさ」においても物足りなかった。

 市井氏は23日にツイッターを更新。そこでは「とても残念で悔しい思いでいっぱいですが、私が全国で訴えてきたように、子育て世代の声が政治にスピード感を持って反映されることを願ってやみません」とつづられていた。この言葉を見てもどこか他人事で、つい数日前まで「自分が変えたい」と戦っていたという“熱”を感じられず。これを読んで、今回の落選を「そりゃ、そうだよね」と妙に納得してしまった。(記者コラム・高柳 哲人)

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