橋岡優輝、男子走り幅跳びで東京五輪の表彰台に一番近い男

笑顔でポーズをとる男子走り幅跳びの日大・橋岡優輝(カメラ・関口 俊明)
笑顔でポーズをとる男子走り幅跳びの日大・橋岡優輝(カメラ・関口 俊明)
「有言実行」と書いた色紙を掲げる男子走り幅跳びの日大・橋岡優輝(カメラ・関口 俊明)
「有言実行」と書いた色紙を掲げる男子走り幅跳びの日大・橋岡優輝(カメラ・関口 俊明)

 日本陸上界の次世代を担う“プリンス”が、世界へ羽ばたこうとしている。男子走り幅跳びで18年U20世界陸上金メダルの橋岡優輝(20)=日大=が、6月末の日本選手権を制し、自身初となる今秋のドーハ世陸代表に内定した。両親ともに陸上選手で、いとこはサッカーJ1の浦和で活躍するDF橋岡大樹(20)。日本記録まであと3センチの自己記録8メートル22を持ち、20年東京五輪の表彰台候補に名乗りを上げた若者の素顔に迫った。

 期待を集める20歳が、世界への挑戦権を得た。5月に痛めた左かかとも順調に回復し、日本選手権は7メートル98でV3。9~10月のドーハ世陸代表に内定した。

 「すごく安心した。もう一段レベルアップしないといけない。(世陸は)8メートル40を跳んで、上位に入賞できるようにしたいです。ドーハでは(世陸と同会場だった4月のアジア選手権で)8メートル22を達成したので、メダルまでかかってくるかどうか分からないですけど、8メートル40、という思いが強いですね」

 “黄金世代”の一人だ。男子100メートル日本記録(9秒97)保持者のサニブラウン・ハキーム(20)=米フロリダ大=は同じ学年。日大の1年先輩には、女子やり投げで5月に日本記録を樹立した北口榛花(21)もいる。

 「ハキームとは高1の頃から仲が良い。日本記録も、やっと出したんだ、もっといくな、という感触が大きいですね。今年は遠藤日向が(5000メートルで)室内日本新を出し、北口さんがいて(男子棒高跳び日本王者)江島(雅紀)もいて、刺激を受けています。海外の同世代も化け物ぞろいなので、今後、世陸が楽しみになるような世代なのかなと思っています」

 父・利行さんは棒高跳びの元日本記録保持者。母・直美さんは走り幅跳びや100メートル障害で活躍という陸上一家に育った。いとこの大樹はサッカー浦和DFとして、20年東京五輪代表入りも有望視される選手だ。

 「小学生くらいの時、父と母がすごい選手だった、とは知っていて、僕も若干、足が速かったのと、バネがあったので陸上を始めました。(大樹は)いい刺激になっていると思います。年末年始に1回会うような親戚って感じで。試合も見に行く機会はないんですけど、チャンスがあれば行けたらと思っています。(いとこ同士で五輪に出られたら)多分珍しいですね」

 中学時代は陸上部で100メートルや混成競技に取り組み、走り幅跳びを本格的に始めたのは高校1年だった。

 「もともと小学校の授業で、他の生徒よりは跳んでいたので面白さを感じていて。中学に入ってからも、やりたいという気持ちはずっと持っていました。ただ、高1から始めて、最初は技術の浅さを痛感しました。先生に言われても、何が何だかよく分からなくて…。負けず嫌いなので、練習でも負けるのは嫌で、その意味で高1の頃が一番大変だったかと思います」

 ただ走って、勢いよく跳べばいいわけではない。外から見るだけでは分からない、競技の難しさがあった。

 「助走を組み立てることや、踏み切ろうとすると逆に跳べなかったりして、自分のメンタルとのバランスの面でも苦労はしました。助走は全力で100%で走るわけじゃなくて、僕は20歩の助走で、最初の8歩は乗せてくる区間。重心を捉えて反発を大きくもらう。中間でいいリズムを作ってスピードアップさせ、最後の6歩でスピードをガッと上げて踏み切りにいくという局面に分かれているんですけど、そこが曖昧だったというか。一回一回の出力が変わって、最後の踏み切りで30センチ手前だったり、ファウルしたり。調整が難しかったですね」

 競技を離れれば、ごく普通の大学3年生。息抜きもしながら、より遠くへ跳ぶ活力を養っている。

 「映画や海外ドラマを見たり、買い物に行ったりするのが趣味です。靴が好きで、スニーカーを集めに渋谷や原宿に行ったり。音楽だと『ONE OK ROCK』とか。ライブのチケット抽選を申し込んだけど、外れちゃいました。好きな芸能人だと千鳥、サンドウィッチマン、くりぃむしちゅーをよく見ます。女性? 橋本環奈とか、ガッキー(新垣結衣)とか、きれいな人が好きですね」

 各種目で活躍が続き、注目が集まる日本陸上界。走り幅跳びの第一人者が考える競技の魅力とは―。

 「人間ってそんなに跳べるんだ、と思ってもらえるのが魅力だと思います。一瞬ですけど、跳べている時は、滞空時間が長いなと感じますね。ラスト、頑張って粘ることができる。跳べた時の感覚はいいものがあります。陸上競技は、外から見れば投げているだけ、走っているだけだし、跳んでいるだけだけど、その中で深さがある。ちなみに、雨の日の試合は(砂で汚れるので)本当に嫌です」

 好きな言葉は「有言実行」。日本記録保持者の森長正樹氏に師事し、8メートル25の日本記録更新、世陸や五輪の表彰台へと力を磨く。

 「森長先生は尊敬できる先生で(指導内容を)言語化するのがすごくうまい。より深くまで理解できるところが、今の記録にもつながっていると思います。僕が今いけるな、という記録だと(8メートル)30後半、40というところも見えてきている。まだ25を超えていないので、跳べるだろうと慢心するのではなく、日本記録を作って、それを背負うという覚悟を持って試合に臨んで、記録を超えていければいいと思っています」

 来年の東京五輪。跳躍種目で表彰台に立てば、日本勢で1936年ベルリン大会(三段跳び金の田島直人ら)以来、84年ぶりの快挙となる。自己ベストをどこまで伸ばしていけるか。残り1年の進化を、はっきり思い描けている。

 「(8メートル)50まではそんなに難しくないというか、もっと洗練されてくれば、来年くらいに跳べるのかなと感じています。その先は世界が変わってまだ見えないけど、8メートル後半、いけるなら9メートルに到達したい。日本人が誰も行っていない“未到すぎるところ”を、どんどん先駆者として突き進んでいくことができたらいいのかな、と思いますね」(ペン・細野 友司)

 ◆橋岡 優輝(はしおか・ゆうき)1999年1月23日、茨城・つくば市生まれ。20歳。さいたま市立岸中で本格的に陸上を始め、1年時は100メートル、2年時からは障害や混成種目。八王子学園八王子高1年から走り幅跳びに専念。2018年U20世界陸上金メダル。19年アジア選手権で日本歴代2位の8メートル22で優勝。日本選手権は17年の初優勝から3連覇中。183センチ、76キロ。家族は両親。

笑顔でポーズをとる男子走り幅跳びの日大・橋岡優輝(カメラ・関口 俊明)
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