◆広島7―6巨人(19日・マツダスタジアム)
王者復活を予感させる大逆転だ。2点を追う8回、松山の適時二塁打で1点を返し、なおも1死三塁。会沢がマシソンの直球を高々と右翼に打ち上げた。鯉党の歓喜がとどろく9号逆転2ラン。選手会長は「久しぶりにグッとくるものがありました」と涙をこらえ、真っ赤に染まった鼻を照れ笑いでさすった。
0―5からの逆転は、2―7から逆転した5月15日のヤクルト戦(マツダ)に並ぶ今季最大の逆転勝利。この巨人3連戦は1試合でも引き分ければ自力優勝の可能性が消滅する。会沢は「みんなプレッシャーがあった」と打ち明けた。エースの大瀬良は今季最短の4回5失点でKO。しかし4回から小刻みに1点ずつ反撃した。5回の適時打など菅野からの3安打がいずれも得点に絡んだ西川は「打席に割り切って入った。(菅野攻略は)奇跡です」と頬を緩めた。
7月初、今季15度目の逆転勝利で本拠地マツダでの連敗も6で止め、4位に浮上した。それでも首位・巨人とのゲーム差は11。崖っ縁には変わりない。緒方監督は「粘り強くあきらめない、ウチらしい野球を見せた。こういう試合ができれば乗っていける」とファイティングポーズを解かない。大逆転劇はまだ、奇跡の4連覇への序章だ。(田中 昌宏)