片岡秀太郎(77)が19日、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。父の13代目片岡仁左衛門、弟の15代目片岡仁左衛門に続き、親子2代、3人目の認定となった。大阪市内で会見し「私事ですけど、私の母が『あなたはいろんな賞には縁遠い。人間国宝にだけはなって欲しいね』と言って死にましたのが平成14年。『お母さん、私もうあかんと思っていたけど、もらえました』ってそれで泣きました」と、喜びを語った。
秀太郎は5歳だった1946年、本名の片岡彦人として京都・南座で初舞台を踏んだ。「当時、名子役と言われたんです。“名子役は大人になったらダメになる”というジンクスを子ども心に聞いておりまして、なんとかええ役者として残りたいなと思っておりましたら、やっぱりあかんかな。そんな時に知らせをお聞きし、間違ってなかったと思っています」と笑わせた。
上方色の強い女形として活躍し、「心中天網島・河庄」の小春、「封印切」の井筒屋おえん、「廓文章」吉田屋女房おきさなど上方世話物のほか、時代物の大役「菅原伝授手習鑑 道明寺」覚寿、「輝虎配膳」越路を得意とする。「私は女形でしたから、父から直接手とり足とり教わったことはございませんが、普段の生活の中で芝居を教えていただきました」と、感謝した。
今後については「引退しないで、脇に回って、若い子を育てたい。若い子が聞きに来てくれることがうれしい」と、後進育成に力を入れることも誓った。