前田日明氏とアンドレの不穏試合をキラー・カーン氏が問いただした…金曜8時のプロレスコラム

熱く語る前田日明氏(左)とキラー・カーン氏
熱く語る前田日明氏(左)とキラー・カーン氏

 元格闘王の前田日明氏(60)とキラー・カン(現役時代の表記はキラー・カーン、本名・小沢正志)氏(72)が15日、東京・新宿区のサンパークホールでトークショーを開いた。昨年はカン氏が経営する同区の「居酒屋カンちゃん」(JR新大久保下車すぐ)で、初の夢の対談を行ったが、2部制でも超満員になったため、今年はホールを借りて「居酒屋カンちゃんプレゼンツ 熱闘場外戦」を敢行した。

 プロレスグッズを展開するチームフルスイング(利根川亘代表)の企画で、これまで居酒屋トークには、藤波辰爾、初代タイガーマスク、藤原喜明、ザ・グレート・カブキ、谷津嘉章、ブル中野らレジェンドレスラーたちが登場しているが、場外戦まで発展したのは前田氏が初めて。それだけ信頼し合っている2人だけに、限定100人を相手に2時間あっても時間が足りないくらい熱く語り合った。

 “蒙古の怪人”として米国WWF(現WWE)でトップヒールだったカン氏とUWF、リングスの創始者でプロレスと総合格闘技を結びつけた前田氏とは、新日本プロレスの先輩と後輩の関係。1983年の第1回IWGP決勝リーグの代表としてアントニオ猪木と肩を並べた実績があり、正規軍と維新軍でも抗争した大型ファイター同士だ。

 紙に書かれたお題を2人で引いてトークを展開する形式で、坂口征二、長州力、高田延彦、ジャイアント馬場、佐山サトルなど、様々なお題をもとに、2人の歯に衣着せない本音トークに場内は大爆笑。

 トークはカン氏の独壇場で、「小沢さん」と慕う後輩の前田氏は、カン氏の話が途切れるのを待って話すという掛け合いだった。だが、唯一、カン氏が聞き手になったシーンが1回だけあった。「みなさん、聞きたいことあるでしょう。俺が代表して聞きますけど、俺が日本にいない時だからよくわからないんだけど、アンドレとリングで何かあったんでしょ?」とカン氏が前田氏に質問したのだ。

 前田氏は1986年4月29日に三重・津市体育館で、“大巨人”アンドレ・ザ・ジャイアント(93年に46歳で没)と不可解なノーコンテスト試合に遭遇した。テレビマッチでありながら、当時のテレビ朝日系「ワールドプロレスリング」では、放送されず、“伝説のケンカマッチ”として後にDVD化されるなど話題になった試合だ。

 前田氏は苦笑しながら話し始めた。

 「IWGP(86年の第4回リーグ戦)の前哨戦のタッグマッチでアンドレとからんで結構いい感じだったんですけど、次のシングルのトーナメント(リーグ戦)でアンドレと当たるんですかって(新日本プロレスに)聞いたら、『ない』と言われてたんです」と背景を話し始めた。当時、前田はUWFの代表として顔面ハイキックなど、妥協なき戦いを新日本に持ち込んでいた。リーグ戦はA、Bのブロックに分けられ、Aリーグに猪木とアンドレが入ったが、前田はBリーグとなりシングルでは2強から遠ざけられた。

 だが地方巡業で急展開があった。「3日ぐらい前にテレビ中継でアンドレとシングルが決まったんですね。会場に行くと新聞記者が『アンドレが前田をつぶすと言ってるぞ』と、ミスター高橋さんも『レフェーできなくなった』と言うから、妙だなって」と嫌な予感がしたという。

 試合ではアンドレが危ない体勢で前田の首に体重をかけてきたり、タッグで見せていた流れるような攻防にならない。「試合にならないんですね。このままやるとケガするなと思って、星野(勘太郎)さんに『どうしたらいいんですか』って聞いたら『俺に聞くな』と。どんどん危なくなっていった所で、藤原(喜明)さんがぱっと入って来てくれて『お前、そんなことしてると殺されてしまうぞ、考えずにいけ』と言ってくれた」

 「何かあったら全部藤原さんのせいにしてやろうと思いきっていった。何回かひっくり返したんですけど、そしたら(アンドレは寝転がって)試合放棄して動かなくなったんですね。たまたまその頃、アンドレから3カウント取ったらビンス・マクマホンが100万ドルやるっていう話があったんです。それでフォールに行ったんですけど、誰もカウント取ってくれなかった」

 試合はノーコンテストになり、リング上に選手が集まった。「藤原さんが『どういうつもりなんだ』って猪木さんに突っかかってくれて、不穏な感じになったんですけど、テレビの中継(収録)があったんで、みんなそのまま引き上げたんです。シャワールームで猪木さんから『お前、よくやったじゃないか。なめられたことしたら、あれでいいんだよ』って言ってくれたんですよね」と不穏試合の顛末を語った。

 カン氏は「アンドレをフォールしたら100万ドルの話があったの? ビンスは俺には言わなかったな」と殺伐としたトークを笑いに変えた。カン氏はアンドレの足を折った“蒙古の殺し屋”として米国でトップヒールになった実績があるが、前田氏をつぶそうとしたアンドレの姿が想像できないという。「アンドレは性格はいい。運動神経も抜群。俺をしっかり持ち上げる所も作ってくれた。本当のプロですよ」

 これには前田氏も同調する。WWFに遠征した25歳の時に、一人でホテルのバーで飲んでいる時にウイスキーのボトルを差し入れしてくれたアンドレとの思い出を語り、それまで敵意はなかったという。シチュエーションは違うが、アンドレをステップにのし上がったという共通点のある2人は、今は亡き大巨人に感謝しているようだった。(酒井 隆之)

 ◆平成維震軍トーク チームフルスイングでは8月31日に浅草・東洋館で越中詩郎、木村健吾、ザ・グレート・カブキが参加する「“熱風”フルスイングトーク 令和も維震魂で!」を開催する。詳細はhttp://teamfullswing.ocnk.net/product/475で。

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