阪神・原口の復活に涙した帝京高の兄貴分「あいつがすごくて、本当に後輩なのかな」

中日・高島打撃投手と握手する阪神・原口(左)
中日・高島打撃投手と握手する阪神・原口(左)

 後半戦の開幕を前にナゴヤドームをのぞくと、人懐っこい笑顔が近づいてきた。元中日の投手で現在はドラゴンズで裏方業に徹する高島祥平打撃投手(28)だ。

 「原口、すごくないですか。あいつ、とんでもないシナリオを描いてきますね」。大腸がんを乗り越え、球宴で2戦連発をマークした阪神・原口文仁捕手(27)のプレーに興奮を隠せない様子だった。

 高島打撃投手は高校時代に帝京高で白球を追い、1学年先輩にソフトバンクの中村晃、1学年下に原口がいた。3年生の時に1年生で入学してきたのがDeNAの守護神・山崎康。「僕と原口は中板橋組。帰り道がいつも一緒だったんです」と懐かしそうに振り返った。

 帝京高の生徒は東京・板橋区のグラウンドから東武東上線組と埼京線組に分かれて帰路につく。自宅の方向が一緒だった高島打撃投手は後輩の原口とコンビニのカップラーメンで腹ごしらえし、東武東上線の中板橋駅からいつも電車に揺られていた。

 「僕が先に降りるんですけど、あいつは『先輩、お疲れさまです』ってあいさつをする。でも僕が電車降りたら、窓越しにバイバイって友達みたいに(笑)。要領いいというか、なめてるんです」

 厳しい上下関係を嫌う高島打撃投手は、高校卒業後も友人のような関係を原口と続けた。ウエスタン・リーグで初対戦した時、原口が腰痛を克服して育成選手から支配下選手に復帰した時、いつも気さくにメールやLINEで連絡を取った。

 だが、原口の病気を知った今年1月はさすがに携帯電話を持つ手が固まった。「あいつも色々と大変だろうし、今連絡するのは少し違うかなと」。手術が無事に終わったことを報道で知った時も少し時間を置いてから「くれぐれも無理はするなよ」とメッセージを送った。

 原口が1軍復帰し、久々に顔を合わせた6月29日のナゴヤドーム。あいさつに来た原口に「大丈夫か?」と声をかけると、「当たり前じゃないですか!」と軽口が返ってきた。ただ、後輩が漏らした一言は今でも忘れられない。

 「最初は死ぬかと思いました」

 いつも明るく元気な原口の弱音を聞いたのは初めてだった。

 「『今は全然大丈夫です』って言うから本当に良かったなって。でも、最近、あいつがすごくて『本当に後輩なのかな』と思うことがあるんです」

 高島打撃投手は4年間の現役生活で、1軍登板は1試合に終わった。ライバル球団とはいえ、後輩の活躍は我が事のようにうれしく、胸が熱くなる。

 「とにかく元気でいてくれればという思いなんですけどね」。野球界を越え、勇気と感動を与える原口には、いつも温かいまなざしを注ぐ先輩がいる。(記者コラム・表 洋介)

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