【北北海道】旭川明成・渡辺蓮、執念Vホーム 亡き母にささげる初勝利

7回に執念のヘッドスライディングで決勝点を奪った旭川明成の渡辺(カメラ・石井 睦)
7回に執念のヘッドスライディングで決勝点を奪った旭川明成の渡辺(カメラ・石井 睦)

◆第101回全国高校野球選手権北北海道大会 ▽1回戦 旭川明成4―3釧路工(14日、旭川スタルヒン)

 1回戦3試合が行われた。5年ぶり3度目出場の旭川明成が4―3で釧路工に逆転勝ちし、1998年の創部から北大会初勝利をつかんだ。3―3の7回1死二、三塁から打者の振り逃げの間に、三塁走者の6番・渡辺蓮一塁手(3年)が執念のヘッドスライディングで生還。4月にがんで亡くなった母にささげる決勝点を奪った。

 とっさに突っ込んだ。3―3に追いついた7回、なおも二、三塁の場面で三塁走者の渡辺だ。1死から9番・伊藤嶺投手(3年)が振り逃げした直後、気迫のヘッドスライディングを試みた。「捕手が(一塁手にボールを)投げたら行こうと思っていた。うれしくて頭が真っ白だった」。自慢の足で、シーソーゲームの決勝点を奪った。旭川明成に、北大会初勝利をもたらしたヒーローは、ベンチの仲間にもみくちゃにされた。

 3年生と同じ、16年に同校に来た大場優部長(31)から「歴史を変えよう」と言われて臨んだ初戦。自然豊かな環境で磨きあげた「野性の男」ぶりを、苦しい場面で発揮した。渡辺が4回に右前適時打で2―1とするも、6回に吉村真斗中堅手(2年)が中飛を落球し2―3と逆転された。それでも、渡辺は「盛り上げ上手が多くてイケイケの集団。負ける雰囲気はなかった」と強気だった。小学時代まで過ごした雨竜町の自宅の裏山で蛇やネズミを追いかけて養った俊足と「瞬時のカン」でチームを救った。

 見えない力も、そっと背中を押してくれた。やんちゃで素朴な少年を見守ってきた最愛の母・仁美さんが今年4月、後腹膜がんのため55歳で亡くなった。最後の夏の観戦がかなわなかった母の思いも込めて、この日はスタンドから姉・千咲さん(24)=札幌市、看護師=が応援。悲しみを乗り越えて活躍する弟の姿に優しく目を細め、「今朝もお母さんのために勝つんだと言っていました。昔から走るのが好きな弟。まさかこんな場面でやってくれるなんて…」と声を詰まらせた。

 02、14年と2度はね返されてきた初戦を突破し、2回戦(16日)では武修館と戦う。「今のチームには力も勢いもある。甲子園に行ってさらに歴史を塗り替えたい」と渡辺。打って走れる旭川明成ナインが、ここから先は未知の挑戦を乗り越えていく。(川上 大志)

 ◆渡辺 蓮(わたなべ・れん)2001年4月16日、旭川市生まれ。18歳。雨竜小3年から雨竜ドラゴンズで野球を始める。旭川東明中では「6番・一塁手」。高校では2年秋の地区大会から背番号3でベンチ入り。好きな漫画は「ワンピース」で、自分と同じように野性味あふれるモンキー・D・ルフィがお気に入り。171センチ、65キロ。家族は父と姉2人。

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