【プチ鹿島のプチ時評】「今」知るために家族留学

プチ鹿島
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 「ロスジェネ」という言葉。ロストジェネレーションの略で1990年代後半から2000年代前半の“就職氷河期”に社会に出た世代(現在40歳前後)の呼び名だ。「失われた10年」に卒業が重なり、非正規、無職となった人も多い。

 正直いうと私は数年前までピンときていなかった。芸人なので就活未経験だし、豊かな生活を送れないならそれは芸人の自己責任だと考えていたからだ。でもそれはあくまで芸人界の話。これは個人の問題ではなく社会問題。ちゃんとやっているのに理不尽な目に遭っている人の実情をほぼ想像できていなかった。恥ずかしい。

 さらにこの世代に関して最近また衝撃を受けた。私がMCを務める番組に「家族留学」を提案している若い経営者が来てくれたのです。話によると高校時代に「どんなキャリアを築くのか」という情報はあったけど「結婚や子育てに関する情報はなかった」ことに違和感があったという。女性の社会進出や働き続けることへの不安があった。

 そんなご自身の経験で思いついたのが「家族留学」。就職前の女性に子育て家庭を紹介し、体験してもらうシステムを立ち上げた。「結婚して子供も欲しいけど社会でも活躍したい」「母親は専業主婦だから両立のイメージがつかない」というなら“留学”してもらおうと。

 話を聞くほど痛感したのが、体験を提供する側の30~40代の女性がいかに「未踏の道」を歩んだ世代であったかということだ。それを自覚しているから若い人の受け入れにとても協力的だという。

 私は「男女共同参画」と頭ではわかっていたが、同世代や近くの世代の孤軍奮闘をあらためて思い知った。見ていたつもりが見ていなかった。最近は体験する側も受け入れる側も男女の参加が増えてきたと教えてもらった。

 ちなみに就職前の女性がこの家族留学について話したら「仕事は結婚までの腰掛け?」と面接時に言ったおじさんがいたそう。絶望的な断絶を感じたけど、でも他人のことは言えません。まずは「今」を皆で知ること。おじさんの家族留学も必要なのかもしれない。

(お笑いタレント、コラムニスト)

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